著作権関連の活動

現行の著作権法が施行されたことをきっかけに、情報科学技術協会(Information Science and Technology Association, Japan(INFOSTA)) では、情報部門や情報担当者が日々直面する著作権の課題に向き合い、その解決のために研究会、セミナーの開催などの活動を続けてまいりました。
著作権委員会では、2025年からは新しいチャレンジとして「著作権ワークショップ」を開催し、課題解決への新しいイニシアチブとしての活動を始めました。
また、著作者の権利を尊重しつつ、情報の流通・利用の専門の立場から提言する努力も行われてきています。

 

歴史的経緯・背景

INFOSTAでは、1971年の新著作権法施行後に会誌に解説記事を掲載し、夏季セミナーで新著作権法勉強会を開催するなど、著作権法と著作権に対する普及啓発に努めてきています。
その間の経緯を辿ってみますと、委員会の名称や機能は時期によってさまざまです。
そこで改めて、歴史的経緯について簡単に触れておきます。

  • 1980年には著作権とドキュメンテーションにかかわる諸問題を検討するための「著作権問題研究会」を発足させました。
  • 1983年には文化庁長官の諮問機関による「著作権の集中的処理に関する調査研究協力者会議中間まとめ」に対する意見を発表しました。
    なお会誌の投稿規程新設にあたり、掲載記事の著作権は当協会に帰属することと規定しました。
    その後、投稿規定を改定して2007年(会誌57巻)以降の会誌掲載記事、著作権は著者に帰属し、当協会が当該記事を掲載し、印刷物及びオンラインで排他的に出版する権利、翻訳や翻案等を通じて二次的著作物として利用し,当協会が発行する出版物(電子版を含む)を通して出版する権利、当該記事の紙面から紙面への複製を有料または無料で許諾する権利​​、を有することとなりました。
  • 1990年には、「著作権問題委員会」を常設委員会とし、下部組織として時限の3つの分科会(基本問題分科会、複写権等分科会、データベース分科会)を置き、委員会活動として委員並びに当協会会員の著作権に関する知識の涵養を諮ること、としました。
  • 2001年には「複写権問題検討会」が設けられ、2002年に「複写権問題検討委員会」を発足しましたが、その後「複写権問題検討会」を会員向け講演会・セミナーの呼称、「複写権問題検討委員会」を常設委員会名と整理し、2011年に著作権問題委員会と複写権問題対策委員会とを発展的に統合、「著作権委員会」としました。

このように、名称こそは、時期と役割や機能次第での変遷がありましたが、1970年代から当協会は、著作権に関連する課題に、さまざまな対処・対応を行なってきました。
当協会会員には、著作者、著作権者、著作物の利用者のみならず、著作物流通の仲介者も多く含まれ、学術情報の流通促進に寄与するという立場を基本としてきました。
多くの著作権に関連する課題については、裁判や判例、法律の解釈のみでは解決できないケースも多く、権利者と利用者との契約・取り決めで解決が図られています。
その結果が法律等として明文化される結果につながることなることもあります。
そのことから、法律の改正や判例解釈のみならず、変化する社会状況についての調査研究も必要です。

 

年度別活動歴

年度 活動
2000年度
  1. 学術著作権協会(学著協)から「アメリカ合衆国著作物複写利用」について米国の著作権管理団体であるCopyright Clearance Center(CCC)と双務協定を締結したことで、今後の国内でのCCCの管理著作物にの複製利用については、学著協と契約が必要である旨の案内を1999年12月に当協会の会員も含めて行なったことから、「アメリカ合衆国著作物複写利用契約説明会」を開催
  2. 学著協からの要請に関する会員への緊急アピール発出
  3. 学著協/Copyright Clearance Center(CCC)の著作権問題に関する(会員)アンケート実施
  4. 文献複写権問題の現状説明・検討会を開催
2001年度
  1. 複写権問題検討会を発足(2001.4)
  2. 「CCCを巡る文献複写権問題に関する検討会」開催(都合2回(2001年7月12月))
  3. 「著作権セミナー」(後の複写権問題検討会)開催
  4. 文化庁その他宛に「著作権集中管理事業団体の統合化のための要望書(提言)」発信
  5. (社)日本複写権センター(Japan Reproduction Rights Center(JRRC)からの文書について対応(INFOSTA会員緊急調査)
  6. 学著協宛て「使用料規程に関する要請」に対して回答
  7. 文化庁の「文献複写問題に関する要望書について」に回答
2002年度
  1. 複写権問題対策委員会拡大幹事会を開催
  2. 複写権問題対策委員会並びに同幹事会の開催
  3. 複写権問題検討会を発展的に改組し複写権問題対策委員会も設置
    下記資料のINFOSTA/Website掲載
    ・「INFOSTAの文献複写問題に関する取り組み
    ・「2002年7月5日付日経記事に関する複写権問題対策委員会見解等
    ・「複写権問題に関する課題
    ・「文献複写に関する情報源」等
  4. 「著作権集中管理事業団体の統合化のための要望」を文化庁宛てに提出
  5. (株)学術著作権処理システム(ACCS)との意見交換会開催
2003年度
  1. 「学術情報の円滑な流通を阻害しない著作権処理システムの実現に向けたアピール」発表
  2. 学著協との意見交換会開催
  3. 複写権問題検討会の開催(2003.11.17 他2回)
    ・講演「学術雑誌の動向」
    ・講演「情報流通と著作権」
    ・講演「医学図書館のかかえる学術雑誌購読と著作権」
  4. 文化庁に対し「文化審議会著作権分科会報告書(案)に関する意見」提出
  5. 「学著協の『使用料規程』変更に関わる意見書」を提出
2004年度
  1. 知的財産戦略本部「知的財産推進計画の見直しに関する意見募集」に意見を提出
  2. 文化庁「著作権法改正要望について」の照会に対し回答提出
  3. 文化庁「著作権等管理事業法の施行状況等に関する意見募集」に対し意見提出
  4. 文部科学省「科学技術の振興に関する意見募集」に対し意見提出
  5. 文化庁に「文化審議会著作権分科会委員への学術情報利用者任命の要望書」を提出
2005年度
  1. 文化庁著作権分科会委員等に「著作権法改正に関する要望」を提出
  2. 同上「著作権法改正検討に関する要望ー補足」を提出
  3. 文化庁法制問題小委員会意見募集に対して意見提出
  4. 著作権等管理事業法の見直しに対する意見提出
  5. 文化庁に「文化審議会著作権分科会委員への学術情報利用者任命の要望書」を提出
2006年度
  1. 会誌著作権のあり方について、委員会による答申に基づき協会案の確定と広報文書等検討
  2. INFOPRO 2006のトーク&トーク「学術情報の流通・利用と著作権」を支援
  3. 文化庁に対して「権利制限見直しについての継続審議開始に関する意見書」を提出
  4. 「知的財産推進計画2006の見直しに関する意見書」を提出
  5. 学著協に対する「使用料規程改正案(2007年2月1日実施予定)に関する意見書」を提出
2007年度
  1. 会員に対する教育活動に重点をおき、著作権に関する研修会の企画で、研修委員会に協力して実施
  2. 複写権問題検討会「著作権を巡る最近の状況ー改正著作権法施行を踏まえて」を開催
  3. 著作権法改正に関する法制問題小委員会のパブリック・コメントに対し意見を提出
  4. (株)日本著作出版権管理システム(JCLS)が公示した約款と使用料規程に対する意見書を著作権課に提出
  5. 知的財産戦略本部「知財推進計画2007」に対するパブリック・コメント対応
  6. 学著協から提示の使用料規定の改訂案に対して意見表明
2008年度
  1. 研修委員会に協力し「著作権の基礎から学べる実践セミナー」を開催
  2. 都合6回の複写権問題対策委員会を開催し、著作権管理事業団体、日本経済団体連合会(経団連)等とも意見交換
  3. 複写権問題検討会「学術文献複写の権利処理に関する最近の話題」を開催
    1. 文化庁の法制問題小委員会中間報告について
    2. 文化庁の文化審議会著作権分科会について
    3. 内閣府の知財制度専門調査会報告について
  4. 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「平成20年度・中間まとめに関する意見」のパブリック・コメント対応
    1. 「デジタルコンテンツ流通促進法制」について
    2. 「私的使用目的の複製の見直し」について
    3. 「研究開発における情報利用の円滑化」について
    4. 「その他の検討事項(障害者福祉関係と薬事法関連での継続審議事項)」について
  5. 知的財産戦略本部知財制度専門調査会「デジタル・ネット時代における知財制度の在り方について」のパブリック・コメント対応
    1. コンテンツの流通促進方策
    2. 権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)の導入
    3. ネット上に流通する違法コンテンツへの対策の強化
2009年度
  1. 研修委員会に協力し「著作権の基礎から学べる実践セミナー2009」開催(2009.12.18東京、2010.1.23大阪)
  2. JRRC、学著協、経団連等との協議・意見交換を実施
  3. 文化庁著作権課長等を招き「学術文献複写の権利処理に関する最近の話題」を開催
  4. 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会「平成20年度・中間まとめ」のパブリック・コメントに意見提出
  5. 知的財産戦略本部デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会「デジタル・ネット時代における知財制度の在り方について」に意見表明
  6. 知的財産戦略本部「知財推進計画2008の見直し」に関するパブリック・コメントに意見表明
2010年度
  1. 普及活動としての「著作権処理実践セミナー」開催に協力
  2. 著作権関連委員会の再構成について検討
  3. 3名の委員追加による陣容の充実化を実施
2011年度
  1. 著作権関連委員会の再編成について検討
  2. 著作権問題委員会と複写権問題対策委員会とを発展的に統合、著作権委員会として活動開始
2012年度
2013年度
  1. 他機関との連携、パブリック・コメント対応を可能とする体制づくりを準備
2014年度
  1. TPPの知的財産権透明化を考えるフォーラム(thinkTPPIP)の「著作権保護期間延長等に反対」する国際声明への賛同を表明
  2. 会誌掲載原稿著作権処理見直しを提案
  3. 学著協より「複写に係わる総合的権利委託契約書」提示に関する協議実施
2015年度
  1. 文化庁「著作物等の利用円滑化のためのニーズの募集」に意見書提示
  2. 会誌掲載原稿著作権処理見直しを提案、学著協との調整もスタート
2016年度
  1. 会誌著作権に関わる規程の修整提案等に関わる紙ベース複製の権利委託のみ決着
2017年度
  1. 日本製薬団体連合会(日薬連)から要請の「著作権法改革により日本を元気にすることを提案します」への賛同表明
  2. 著作権委員会から会誌経営委員会及び会誌編集委員会に指摘し、「『情報の科学と技術』に投稿される方へ」の「6.著作権」改訂(2018.1.1適用)
2018年度
2019年度
  1. 会誌の複製許諾権を持たない時期の許諾の取扱いについて検討
2020年度
  1. 著作権セミナー「著作権法改正の動向についてーINFOSTAとしてできること」(2020.12.15)
  2. 知的財産戦略本部「知的財産推進計画2020」パブリック・コメント対応
  3. 文化審議会著作権分科会法制度小委員会パブリック・コメント「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」意見提出
2021年度
  1. 文化審議会著作権分科会基本政策小委員会「簡素で一元的な権利処理の在り方」のパブリック・コメントに意見表明
  2. 著作権法第31条改定に向けたガイドライン分科会並びに関係者協議会等の状況確認
2022年度
  1. 文化庁「著作権法施行令の一部を改正する政令案」及び「著作権法施行規則の一部を改正する省令案」のパブリック・コメント対応
    1.  図書館等公衆送信補償金に関する指定管理団体等(新法第104条の10の2~8関係)
    2. 全部の複製・公衆送信を行うことができる著作物(新法第31条第1項、第2項関係)
    3. その他
  2. 専門図書館協議会(専図協)著作権委員会との情報交換会を複数回開催
  3. 専図協から依頼された図書館公衆送信補償金に関する意見聴取に回答
  4. 図書館等公衆送信補償金管理協会(Society for Administration of Remuneration for Public Transmission by Libraries or Similar Facilities(SARLIB))からの図書館関係団体の意見聴取に回答
  5. 専図協著作権委員会依頼の「図書館等公衆送信補償金管理協会から図書館団体の意見聴取」に関する意見提出
2023年度
  1. 文化庁「AIと著作権に関する考え方について」パブリック・コメント対応
  2. 図書館等公衆送信可能に関する著作権法の一部改正通知等の共有
2024年度
  1. 文化庁「著作権法施行令の一部を改正する政令案」パブリック・コメント対応
2025年度
  1. 「著作権ワークショップ」を企画提案、年度内に4回の開催を試行

 

INFOSTA著作権委員会(委員長: 鈴木 博道、担当理事: 松下 茂)