2012年度 情報検索能力試験 合格者の声
情報検索能力試験 1級に合格して 
             飯島 秀明 さん (ソニー知的財産ソリューション(株))
 情報科学技術協会の試験は,図書館や企業の情報センター等に勤務する方達以外には,一般にあまり知られていない試験ということもあり,全体の受験者数・合格者数が非常に少ないです。そのせいか,1級試験に関する情報はほとんどなく,唯一,このサイト上で公開されている模範回答の付いていない(!?)過去問と,この合格体験記のみです。このような状況の中で私が行なった試験対策もほとんどありませんが,自分なりに思うところを書いてみたいと思います。

<1次試験>
◆2級で使った「情報検索の知識と技術」を何回か読んでおく
 基礎が大切という意味では,検索を行う時の重要ポイントや,各データベースの特徴を押さえるのに重宝するテキストです。このテキストの内容がある程度頭に入っていれば,1次試験の問題は少し捉え方を変える(応用する)だけで対応していけます。
◆2級後半試験の過去問を解いておく
 2級後半は記述式の試験ですが,1級に出題される内容に似ています。ですので,解答例の無い1級過去問の代わりに,2級の問題とその解答例を確認しておくと有効です。
◆英語の読解,和訳問題では検索に関するキーワードを押さえておく
 英語力が低くても,出題される内容は検索データベースに関する内容ですので,そのツールについて理解があれば何となく文章の意味が分かります。万が一,馴染みのないデータベースで,自分の英語力が厳しいとしても・・何か書きましょう。想像力を駆使して。
◆論文試験は字数を埋めることに専念する
 出題される題目はある程度絞れるので,当たり前ですが,何を書くか事前に考えておき,試験が始まったら,問われている設問に対し,箇条書きでポイントを書き留め,あとはそれを順番に膨らませていく・・・のみです!いい文章を書こうとしない。最高を目指したくなりますが,最低ラインも意識して。
◆答えは複数ある
 「どうやって調査を行うか?」という設問に対する答えは様々です。明らかに内容が間違っていなければ,自分が有効だと思える調査方法を書けばOKです。ただ,知識があやふやなデータベースを持ち出すと墓穴を掘ることになるので,「知っているデータベースでその調査を行うことは出来ないか?」と逆に発想する柔軟性も大事です。限界はありますが。それしか方法が無い時もあります。
<2次試験>
◆プレゼンは論文の内容をコンパクトにまとめ,順番に話せば大丈夫
 溢れる想いをシートに盛り込み過ぎると,聞いている方も??になります。シンプルに。気持ちあっさりと。
◆1次試験筆記の見直しと別の解答例を考えておく
 面接では,かならずカナラズ必ず〜,1次試験の内容について聞かれます。ですので,答え合わせと,他の答え方には何があるかを事前に確認しておきましょう。間違えた自覚のある問題について質問されても物怖じしてはいけません。今は復習して正しい答えを知っている,1次試験の時よりも進歩している,ことを積極的にアピールしましょう。どんなに出来が悪くても1次試験は受かっているのですから自信を持って。
◆1級はインフォプロの試験,協会も威信を掛けて攻めてくる
 当たり前ですが,協会も少ない合格者数を多くしようとは思っておらず,合格者にはある程度のレベルを求めます(と感じます)。ですので,こちらも負けずに攻めていきましょう。間違った答えを言ってマイナスになるのも,黙っていて0点になるのも同じです。
 少し表現に誤解を招く部分があったかもしれませんが,もちろん何の勉強もせずに勢いだけで受かる試験ではありません。リラックスして挑戦して欲しいとの気持ちからこのような表現になった次第です。今後,多くの皆さんが合格されることを期待しています。



情報検索能力試験 2級に合格して 
             末松 久美 さん (福岡大学 学術情報課(図書館)利用者サービス係)
 私がこの試験を受験しようと思ったのは,
 ・図書館の利用者からの質問に的確に答えられる能力を身につけたい。
 ・身につけたスキルを何かの形にしたい。
という二つの願いが叶えられる試験だと考えたからでした。司書としては図書館が所蔵している,あるいは契約しているツールに通暁していることが求められているのですが,実際我々はそのツールを使って研究しているわけでもなく,ましてや実務で使うことはほとんどありません。しかし質問を受け付ければその方のニーズにあったツールを的確に提示しなくてはいけないのです。2級の試験範囲は各分野にわたる広範なものです。試験勉強をすることによって情報検索において広く,正確な知識を身につけられるのでは,と思い受験しました。
 試験対策としてはテキスト「情報検索の知識と技術」の内容をノートにまとめつつ,過去問を解き,知らない用語,理解できていないトピックを書き出しました。データベースの問題はウェブサイトでその概要を把握し,余裕があればHELPを見て利用方法を確認しました。
 大半の受験者の悩みは試験勉強の時間の確保が難しいことだと思います。私は朝型なので平日は早く起きて,休日は午前中に時間を確保しました。そのかわり終業後や休日の午後はきっちりリラックスと遊ぶ時間に充てました。あとは通勤時間などのちょっとした空き時間に,まとめたノートや自作の用語集を見てうろ覚えのトピックを確認し,さらにそれに関連したテーマを連想してあいまいに覚えているところはないか自己点検しました。自分の体質と性格を考えて,休むところは休み,勉強するときは集中するようメリハリをつけてやってみると結果的に時間を効率的に使えるようになったのが大きな収穫でした。
 試験勉強を続けるのに大切なのはモチベーションの維持です。私には資格試験を勉強している同僚や友人が多いのですが,目標は違っていてもその方たちの勉強の進捗状況や合格報告を聞いたりすることは刺激になりました。
 と,ここまで偉そうに書いておいてなんなのですが,私は今もって合格したことが不思議でなりません。試験を思い返してみても到底手ごたえがあったとは言い難いのですが,せっかくいただいた奇跡の合格です。これをさらなるスキルアップへの励みにして,利用者から信頼される司書を目指してこれからも研鑽を積んで行きたいと思います。
 最後に合格体験記を書く,というめったにない貴重な経験をさせていただいた情報科学技術協会の方に感謝します。ありがとうございました。そして私のつたない文章が,これから受験勉強を始められる方に少しでも参考になればと願っています。


情報検索能力試験 2級に合格して 
             渋谷 侑加 さん (日本能率協会総合研究所 マーケティング・データ・バンク)
  私は2011年から,マーケティング・データ・バンクという,会員企業様向けの情報検索サービスを提供する職場で働いています。お客様のニーズに合った情報を的確に,かつ迅速に検索することが私の仕事です。この職場では新人は検索技術と知識の向上のため,情報検索能力試験を受験することを薦められます。私も2011年に基礎試験を受験し,更なるスキルアップのために今回2級を受験しました。
 もともと勉強というものがあまり好きではない私ですが,せっかく受験するからには1回で合格したいと決意しました。しかしどうやって勉強すればいいのか最初は具体的なイメージを持てずにいました。そこで,まずは過去に2級に合格した職場の上司や先輩方にアドバイスをいただきました。さらに情報科学技術協会のHPから「2級受験の手引き」を拝見し,参考にさせていただきました。
 それらから得た2級対策のポイントは,何と言っても「過去問」です。少なくとも3年分はやった方がいいと思います。それくらいすると,この分野は毎年でているな,というような問題の傾向がわかってきます。また答合わせの時に,ただ正解・不正解をチェックするのではなく,間違っていた部分の正しい答をしっかり確認し,ひとつひとつ覚えていくことが重要です。
 次のポイントは2級のテキストである「新訂 情報検索の知識と技術」を活用することです。過去問を解いて間違っていた部分の確認をするのも効果的な使用法です。私は通勤電車の中やお風呂の中で,睡魔と闘いながら(時に負けながら)このテキストを読んでいました。テキストをしっかり読むことは,選択問題だけでなく記述問題でも役に立ちます。
 勉強をする中で一番苦労したのは,数多くのデータベースについて特徴や検索方法などを覚えることです。実際に使ったことのないデータベースがほとんどでしたので,ただ文字の羅列を覚えようとしてもなかなか覚えられませんでした。そこで,主要なデータベースを2つ選び,セミナーに参加することにしました。実際に検索の方法を実践しながらデータベースに対する理解を深めることで,その他のデータベースについても自分の中の苦手意識が克服できたように思います。
 スケジュールの都合がつく方は,情報科学技術協会が開催するサーチャー講座21に参加することもお勧めします。以上のような方法で自分なりに努力した結果,なんとか1回目の受験で合格することができ,とてもうれしく思います。最後に,受験に際してアドバイスをくれた上司,先輩方に感謝します。ありがとうございました。


情報検索能力試験 2級に合格して 
             青木 紗矢花 さん (長野県上田)
  私が「情報検索応用能力試験」を受験しようと考えたのは,2年前に「情報検索基礎能力試験」を受験し合格したことがきっかけでした。当時,司書資格を取りたいと通信制の大学に通う社会人学生だった私は,履修していたスクーリング科目の先生からこの試験を教えてもらい,いつか司書として仕事をする機会があったとき活かせるのではないかと考えていました。またその頃,地元上田市で「NPO法人上田図書館倶楽部」の方々が試験対策を兼ねた情報検索の研修会を開催していたので,積極的に参加し試験に備えました。
 研修会そのものはとても意義があり,講師の先生も情報検索のスペシャリストの方々ばかりでしたので,そんな素晴らしい先生方から直接指導してもらえたことはとても良かったです。また自分と同じように研修会に参加して熱心に勉強している他の参加者の様子は,良い意味でとても刺激になりました。基礎能力試験に合格した時にはすでに「応用2級を取りたい」と考えており,それに向けた対策の研修会も開催すると聞いていたので,迷わず参加して今回の試験に向けて勉強してきました。「応用能力試験」は噂通り難しく,テキストの内容理解と過去問を解くこと以外に,研修会に参加せずには合格出来なかったと強く感じています。
 研修会参加や試験を通じて思ったのは,インターネット上の情報がいかに玉石混淆であるということ,そしてその中から信頼性の高い情報を得るための手段について自分は学んで来たのだということです。私も日常生活において調べ事があるときは,インターネットを使って手軽に調べてしまいます。日常のほんの些細なことなら検索エンジンにキーワードを入力して検索するだけで良いのかもしれませんが,調査・研究のために信頼性の高い情報の入手が必要な時は,情報検索の知識やスキルを使用しての検索が不可欠になってくるのではないかと思います。
 今回の試験で「応用2級」を取得しましたが,私としてはぜひ「応用1級」にも挑戦したいと考えています。せっかく習得したことを忘れたくないですし,更なる磨きをかけたいと思いますから! そしてもう一つ,この上田地域を含め長野県内により多くの情報検索のスキルを持った方が増えてくれればと密かに願ってやみません。受験を考えている方,ぜひ挑戦してみてください。学んだことはいずれ必ず役に立つ時が来ます。


情報検索能力試験 2級に合格して 
             相澤 聡也 さん (札幌市教育委員会 中央図書館)
  私がサーチャー試験2級を受験した理由は,職場を通じて知り合いになった方が1級の資格をもっており,その方に感銘を受けたからでした。インターネットを使うことが当たり前になり情報入手が容易になったとはいえ,相手のニーズに合わせて,必要な情報を検索して評価し,それらを加工して提供するというニーズは必ず存在するという話を聞きました。その話を聞き,現在配属されている図書館での業務にはもちろん,今後どのような部局に配属されてもそのスキル・マインドは役に立つと思い受験するに至りました。
 試験対策ですが,既に購入していた『新訂 情報検索の知識と技術』を通読した後,過去問を解いたのですが,3割程度しか正解できませんでした。本来業務を遂行しながらの資格勉強でしたので必ず1回でパスしようとサーチャー講座21を受けました。2日間の講座内容はもちろん試験対策になりましたが,結果的に図書館業務に通ずる点も多々あり,非常に有意義でした。その後は,講座で用いた資料の事項をもう少し詳しく調べたりするなどして理解を深め,インプット・アウトプットする訓練を続けました。
 本番の試験ですが,前半の選択問題では「差が付きにくい,全問」「差が付きそう,できれば8割」などメモをする余裕もあったのですが,最後は時間不足となってしまいました。後半の記述問題に関してはほとんど準備をしていませんでしたが,形態素解析やn-グラム方式など「名前は知っているけれどそれって何?」という状態を極力無くするよう努めていたので,それが幸いしたと思っています。また記述の選択問題は普段の図書館での業務に似ていることから,いつもだったらどう対応するかを意識して回答を書きました。
 2級は広く浅く知識が求められますが,上述した「膨大な情報から,相手のニーズに合わせた的確な情報を効率的に検索,評価,加工して提供する」というINFOPROに求められる資質を意識して取り組むことは,試験後にそれをどう活用するかという点でとても大切だと思います。最後に,サーチャー講座も,2級も,北海道には個別受験会場がありません。すべて自腹でしたし,試験当日は仕事の関係で日帰りでした。地理的なハンデがあるのは事実ですが,受験することで知識・技術を整理することができ,それを本来業務でいかに利用者に還元できるかを,以前より意識的に考えられるようになったので,決して余計な出費や受験を躊躇うようなハンデではありません。
 さらに「基礎なら受験したい」という声が周囲から上がるようになりました。これを契機に北海道にも受験会場ができ,ひいては札幌市図書館のプレゼンスが上がることを期待しております。


情報検索能力試験 基礎合格者 
             内匠 清 さん (荒川化学工業(株) 開発統轄部)
  私は2012年度に現在の情報関連調査業務の部署に配属され,これを機に情報科学技術協会の会員にもなりました。その前までは新技術の研究開発に携わっており,関連特許や文献,他社技術動向調査など日々の業務を通じて,2級知的財産管理技能士を取得し,技術スキルと特許スキルについては自分なりに磨いてきました。しかし,現在の部署に配属されてまず感じたのは,調査・検索スキルやデータベース,パソコン関連のハードや通信についての知識が足りないということでした。さらには,研究者時代にもっと知っておければ,もう少し研究開発の効率や方向性など示すためのツールとして有効活用できていたのではないかとも思いました。
 私の前任の社内先輩サーチャーが情報検索応用能力試験1級取得者であったため,「情報検索能力試験」のことは知っておりました。当然のことながら前任者のサーチレベルに到達するには長い年月と経験を要し,いきなり代わりが務まるわけがありませんし,調査のプロセスには個性があり,全く同じことができるようになるとも限りません。これまでのバックグラウンドで身につけたものを生かしながら,単なる調査結果の報告に留まらず,情報に付加価値をつける(分析・提言・企画ができる)アナリスト型に重点を置いた人材を目指していこうと考えました。
 配属後,特定のデータベースしか利用経験がなかったこともあり,まずは情報の基礎から始めようとこの試験を受験することにしました。特許,著作権,検索演算子などについてはある一定の知識はあったので,それ以外の部分を重点的に公式のテキスト「情報検索の基礎知識」や対策セミナーの資料を元に勉強し,試験直前に過去の問題5年程度を解いて身についているか確認した上で本番を迎えました。業務上あまり馴染みのない内容については暗記しきれていなかった問題も多少ありましたが,無事に合格通知を受け取ることができました。
 試験に合格後,「合格を祝う会」にも参加させて頂き,情報関連業務の現場で活躍されている諸先輩方の斬新な生のお話を伺うことができ,自分もさらにステップアップしていくための刺激になりました。実務を行うためにはまだまだ多くの知識を身につける必要を感じており,今後も積極的な自己啓発を心がけていきたいと思います。


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