平成14年3月8日

社団法人 情報科学技術協会
    会長  近江 晶 殿

社団法人 日本複写権センター
理事長 半田 正夫

著作権集中管理事業団体の統合化のための要望(提言)に関する回答

 拝復、平成14年1月25日付け書面によりご提示頂きました標記ご要望(提言)につきまして、下記の通り回答申しあげます。ご回答が遅れましたことを深くお詫び申しあげます。
何卒ご高配賜りますようお願い申し上げます。
敬具

1.
日本複写権センターが、単一の複写権集中処理機関として機能することが、理想的な権利集中処理機関として望ましいことはご提言のとおりであり、他の機関との連携、協議は必要と考えます。

2.
当センターの複写利用許諾契約利用者は、建設、食品、繊維・紙・パルプ、化学、医歯薬、石油・ゴム・ガラス・土石、鉄鋼・非鐵・金属製品、機械・電機機器、輸送用機器、精密機器、その他製品(印刷等)、商業、銀行、証券、損保、不動産、鉄道・航空・陸運、通信・放送、電力・サービス・情報その他、官公庁・その他、大学・高専等の分野にわたっており、複写利用される著作物は自然科学系出版物が多くみられますが、必ずしもそれに偏重はしていません。
  当センターとしては、すでに業務を開始している学著協とJCLSの動向ならびに利用者の反応をみながら複写許諾と使用料制度について必要な変更と料金引き上げを視野の入れ、CCCを含む権利委託者ならびに利用者双方の理解と合意が得られる新たな方法に向け根本的見直しの検討を開始したいと考えます。

3.
当センターが白抜きRの取り扱いを取り止めた理由は、それまで特別扱いとして許諾を行っていた出版物について、2円と異なる使用料を導入するには、利用者の同意を得ることが必要ですが、その同意を得るのは困難と判断したことによります。しかしながら、この問題についての重要性は認識しており、前記2の使用料と制度の見直しに係る問題として、改めて検討を開始致します。
4.経団連は、複写利用許諾契約者を代表する団体として、当センターの設立当初からご協力頂いたところであります。貴協会の会員各位は経団連の会員のお立場もあり、経団連内部でのご検討において積極的な提言を経団連の意見に反映して頂ければ幸甚に存じます。
  当センターは今後も継続して経団連と協議することになると思いますが、是非貴協会のご意見を経団連に具申し、今後の協議において2円にこだわらない新しい料金体系についてご同意頂くことをお願いするものであります。
  図書館につきましてはご承知のとおり著作権法第31条の著作権の制限規定により適法利用の途が開かれており、図書館との交渉は制限規定のガイドラインの交渉が焦点でした。「専門図書館協議会」とはこれまでどおり協議対象機関としてご協力頂く所存です。
  また、当センターは、貴協会はじめ、著作物の複写利用者の団体について公平、公正な対応を図ることについて異論のないところであります。

当センターの管理著作物については、著作権団体の著作者(文芸、脚本、美術、写真)別の著作物(作品名)の公開は極めて難しく、著作者名の公開にとどめ、著作者の当該著作物はすべて権利委託著作物として管理しています。出版物については、先ず管理委託出版者名のデータを公開し、つづいて出版者別出版物データの入力に着手したところであります。
当センターは、著作者、著作権者の著作物の複写に関して、利用者の公正な利用に留意しつつ著作者等の保護を図るべく努力する所存であります。今度とも建設的なご意見ご提言を頂きますようお願い申し上げます。