「情報の科学と技術」 抄録

Vol. 61 (2011), No.4

特集=「インフォプロいちねんせい −プロをめざすスキルアップ−」

特集 : 「インフォプロいちねんせい −プロをめざすスキルアップ−

 2011年4月号の特集タイトルは「インフォプロいちねんせい」。インフォ「プロ」なのに「いちねんせい」とはこれ如何に? このような疑問をお持ちの方も多いことでしょう。
 インフォプロとは,情報関係のプロフェッショナルのこと。情報検索技術者然り,知財マネージャー然り,図書館員もこれまた然り。さりながら,このような情報関係のプロフェッショナルが集う情報管理部門や知財部門に,わけの判らぬまま配属されたり,異動させられたりということがあるのもまた巷の現実です。
 そうです! 本特集は,インフォプロの職場−図書館や情報管理部門,知財部門等−に初めてこられたあなた,あるいは就職してこれらの部門に配属されたあなた,働き始めたもののスキルアップに悩む,そんなあなたのために作りました。「いちねんせい」が「プロ」になるための1冊です。
 特集の内容はと申しますと,まずは,『情報の科学と技術』(あなたが今見ているこの雑誌です)を発行している(社)情報科学技術協会の小野寺夏生会長より「いちねんせい」に何が期待されているのか,何が求められるのかを,そして引き続き,同協会の林和弘研修委員長より,同協会の研修事業−「いちねんせい」よ,ぜひとも参加されたし−について述べていただいております。
 次に,鈴木正紀氏,酒井美里氏,牧野和彦氏には,各々の立場から,大学図書館,知財,ビジネス情報を担当する者のスキルアップについて,時には理論的に,時には現場の例も交えつつ実践的に述べていただいております。
 資格試験の類は,スキルアップの目標として,もしくは己のスキルを評価する指標として活用できますが,本特集では,これも(社)情報科学技術協会が主催している情報検索能力試験について,その目的や内容について原田智子認定試験委員会担当理事に執筆していただいております。
 これらのなかなか中身の濃い文章がある一方で,本特集では,インフォプロの諸先輩のその含蓄に富んだ経験を,そして指南をコラムという形で載せております。老若男女,経験年数も勤務場所も様々ですが,いずれも「いちねんせい」の羅針盤,もしくは不安や悩みを和らげる一服の清涼剤になることでしょう。
 冒頭で本特集のタイトルについて触れましたが,一種の矛盾を宿した表現である「インフォプロいちねんせい」を掲げた本特集は,そのような表現が許容されている現実と向き合い,そのような現実の中で悩んでいる人たちを(温かく?)育んでいこうというわれわれの宣言であり,「いちねんせい」に向けられたメッセージです。
 本特集の企画・編集にあたりましては,研修委員会の多大なるご協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
 本特集がスキルアップを目指す最初の一歩になることを,「いちねんせい」たちの不安や悩みを晴らすことを,そして,本特集を読んだあなたが,次の「いちねんせい」のために活躍されることを期待しております。
 (会誌編集担当委員:吉田幸苗(主査),齊藤泰雄,鈴木努,野田英明,協力:研修委員会)

インフォプロいちねんせいへ

小野寺 夏生
おのでら なつお (社)情報科学技術協会
〒112-0002 東京都文京区小石川2-5-7
Tel. 03-3813-3791(原稿受領 2011.1.25)

INFOSTAのセミナーで磨くスキルと人脈

林 和弘
はやし かずひろ INFOSTA研修委員会委員長(日本化学会)
〒112-0002 東京都文京区小石川2-5-7
Tel. 03-3813-3791(原稿受領 2011.01.31)

進化をつづけるライブラリアンになるために

鈴木 正紀
すずき まさのり 文教大学越谷図書館
〒343-8511 埼玉県越谷市南荻島3337
Tel. 048-974-8811 (原稿受領 2011.01.28)

 大学図書館員の持続的成長に必要な要件について検討を行った。以下の3点に言及した。(1)どういった知識や技能が必要か,(2)それらをどういった方法で学んでいくか,(3)成長を可能とするための基本的態度。(1)については,LIPERの大学図書館班による知見とその構造的把握に資するCILIP によるBody of Professional Knowledgeおよび国立大学図書館協会人材委員会による「コンピテンシー・モデル」をとりあげた。(2)については,(i)外部の情報を積極的に取り込むこと,(ii)仕事に関連した資格取得,(iii)大学院での研究,(iv)そして身近なところでできる日常的努力の方法等について触れた。(3) については,仕事に対するビジョンを持つことと,人とのゆるいつながりを維持することの重要性を指摘した。

キーワード: 大学図書館員,持続的成長,スキルアップ,LIPER,Body of Professional Knowledge,コンピテンシー・モデル,自助努力,図書館コミュニティ

特許サーチャーが,はじめの一歩で身につけたい,7つの知識とスキル

酒井 美里
さかい みさと スマートワークス(株)
〒391-0104 長野県諏訪郡原村5677-1
Tel. 0266-79-6709(原稿受領 2011.2.14)

 どうしたら情報検索の専門家「インフォプロ」として活躍できるのであろうか。パソコンに向かい検索技術を磨いていけば,いつかはプロフェッショナルになれるのか。筆者の考えは違っている。依頼者と適切なコミュニケーションをとり,要望を汲み取って検索条件に反映できる。そして,依頼者から親しまれ,何かにつけ相談を寄せられる,そのような人物像が「インフォプロ」ではないか,と考えている。本稿では,これから情報検索の専門家となる「インフォプロいちねんせい」に向けて,親しまれるプロフェッショナルになる道筋として,7つの習慣を提案する。

キーワード: 知的財産,特許調査,情報検索,インフォプロ,人材育成,時間管理,インタビュー,コミュニケーション

ビジネス情報担当者のスキルアップ

牧野 和彦
まきの かずひこ 鞄本能率協会総合研究所
〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1新大手町ビル2F
Tel. 03-6202-1301(原稿受領 2011.01.28)

 ビジネス情報担当者には,ヒアリング能力,情報源の知識,プレゼンテーション能力,情報の編集能力等,様々なスキルが求められる。その中でも"情報源の知識"は,それぞれのスキルのベースとなる能力である。データベース,インターネットの高度化により,初めて調査する業界・製品についても比較的容易に情報収集できるケースが増えたように思うが,知識があってこそ可能となる高度な情報提供は依然存在する。知識の蓄積はビジネス情報担当者が早い段階から取りかかるべき課題である。今回は"情報源の知識"について,弊社の新人教育への取組,研修における課題例等を通じて述べていきたい。

キーワード: ビジネス情報,情報源,新人教育,OJT,発想法

情報検索能力試験の概要とインフォプロになるための受験のすすめ

原田 智子
はらだ ともこ 鶴見大学文学部
〒230-8501 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2-1-3
Tel. 045-581-1001(原稿受領 2011.01.28)
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