2006年度 情報検索能力試験 合格者の声
情報検索能力試験 1級に合格して 
             稲田聡子さん (山梨県立図書館)
inada_san 今から3年前のこと。司書という仕事の理想と現実のギャップに心身共にひどく傷つき、私は医師の勧めで長期療養に入っていました。そんな中、自分のスキルを客観的に測ってみたいと思い、受験した情報検索基礎能力試験。思えばそれが、1級合格への最初のステップでした。

 職場復帰してからも、システム管理の担当だったことから、職務に役に立つと思い、2級試験の勉強を続けました。職場に導入されている有料データベースが少ないため、サーチエイドをもとにした暗記作業が続き、かなり大変な思いをしましたが、今までの業務の蓄積もあり、何とか一発合格することが出来ました。
 そして、さらなるステップアップのため、今回1級を受験しました。

 1次前半の勉強では、2級受験の時に作った暗記用ノートをベースにして、各種ニュースサイトから検索技術関連の記事をこまめに拾い、わからない用語等についてはIT用語辞典や国会図書館『カレントアウェアネス』などで調べました。『情報の科学と技術』やDialogブルーシート英語版、検索エンジンの英語版ヘルプも有力な教材となりました。さらに、Web2.0についての問題が出ると予想し、ブログを運営している友人に頼んでブログ作成のしくみや問題点などについて教えてもらいました。後半については、もともと論文執筆は得意でしたので、検索事例のまとめ直しと再検証、それと下書き程度で済ませました。

 2次の対策では、やはりプレゼンテーションの準備に苦慮しました。2000字の論文を6分の発表にまとめるというのは非常に難しい作業で、論点を絞った上で、作ったスライドを極限まで削る作業を繰り返しました。また、発表態度についてはわざと専門外の友人に見てもらうことで、わかりやすさを重視したアドバイスを得ることが出来ました。

 2次当日は、プレゼンテーション後の面接で、図書館システムよりもサービスのあり方や職員育成といった運営面の問いかけが多く、少々あわてましたが、日頃考えていることを率直にお話ししました。

 図書館の現場にいると、業務に集中するあまり、新しい技術動向や図書館運営全般についての勉強が手薄になってしまいがちですが、1級試験の総合分野では、特にこうした盲点を突くような問題が出される傾向があります。新しい情報を仕入れ、図書館や図書館員の置かれている現状について考える契機として、図書館員の皆様にも是非情報検索能力試験の受験をお勧めしたいと思います。

情報検索能力試験 1級に合格して 
             山田瑞穂さん
              (大阪府立中之島図書館 )
(所属は2006年度)
 私は公共図書館に勤務しています。公共図書館では数年前から、仕事での調査やスキルアップのための資料や情報を提供する「ビジネス支援サービス」が盛んになっています。私が勤務する館でも、3年前からビジネス支援サービスに取り組むことになり、それに合わせていくつかのオンラインデータベースを導入し、利用者への提供を始めました。そのときに担当となったことが情報検索能力試験に関心を持ったきっかけでした。

 実際にサービスを始めてみるとやはりさまざまな相談が寄せられます。予算の面、また料金体系や利用条件などの問題もあり導入できたデータベースはまだまだ限られたものですが、一方で、特に科学技術分野などで無料で利用できる有用なデータベースがあることなども知りました。こうした様々なツールについての知識を深められればと思い、その1つの目標として情報検索能力試験にチャレンジすることにしました。

 試験の準備は、参考書を読んだり、過去問をやってみたりといったことが中心でした。しかし、理工系の、特に海外のデータベースなどは、実際に使う機会もなく、また前提となる知識も不足していて、実力不足は否めません。そうこうしているうちにあっという間に試験の日が近づいてしまったのですが、こうなっては中途半端に背伸びをしても太刀打ちできるとも思えず、逆に自分のフィールドである公共図書館での情報検索にこだわってできるところまでやってみようと気持ちを切り替え、業務の中で出会った事例をもとに自分が考えていることを書きました。

 具体的には、実際に問合せの多い新聞記事の調査や判例の調査を例に、公共図書館という場でどのように検索を行っているか、特にデータベースだけでなく図書館の強みである図書や雑誌資料を合わせて調査を進めていることなど、これまでの経験を通して重要だと感じたこと、考えていることなどを書きました。合格の通知をいただいたときは自分でも信じられない気持ちでしたが、結果的には公共図書館という視点にこだわったことがよかったのかなぁと思います。

 公共図書館でのオンラインデータベースの提供はまだ始まったばかりです。これからますます、公共図書館で提供できるデータベースの幅も広がり、利用者からの要求も広く深くなっていくことと思います。1級に合格させていただいたことを励みに、新しい動向に注意し、情報検索のスキルを高めていけるように努力していきたいと思います。

情報検索能力試験 2級に合格して 
             大日方 美佳さん ((株)サンメディア)
obinata_san 私の情報検索能力試験
このたび2級に無事合格することができました。
個人的な体験談で大変申し訳ございませんが、私が情報検索能力試験2級に合格するまでについてお話したいと思います。

 私が『情報検索能力試験』の存在を知ったのは、短大1年のときでした。短大の授業の一環として、クラス全員で『情報検索基礎能力試験』の試験に挑戦し、合格することができました。
 短大に入学したばかりの頃は、司書になることを目指していました。しかし、授業で『サーチャー』という職業の存在を知り、検索の勉強をしているうちに、『サーチャー』に興味を持つようになりました。そして、現在では念願がかないまして、『サーチャー』の職に就いております。
 仕事に就いてから2年ほど、試験のことを忘れてしまっていたのですが、上司から2級試験に挑戦してみてはどうかと勧められ、自分のスキルアップのために、今回2級試験の受験を決めました。

 2級試験対策としては、まず、『情報管理入門第5版』、『情報検索の基礎知識新訂版』を読みました。
それから、最近の傾向を知ることと復習の意味も込めて、過去3年分の基礎能力試験と2級の過去問の両方を解きました。試験問題を解いて、答え合わせをすることで自分が不得意な問題を見つけ、そこを中心に勉強を進めていきました。
 また、『サーチャー講座21』にも参加しました。
情報検索概論、電子ジャーナル、ネットワーク、コンピューター、インターネット、サーチエンジン、データベース、特許の講習を受けました。講習でいただいた資料は幅広い試験範囲をカバーしていて、それでいて分かりやすくまとまっており、試験勉強に重宝させていただきました。
2級試験では、様々な分野の問題が出題されていて、自分の専門分野以外のものも、勉強しなければならず、とても大変でした。しかし、勉強することにより得たものは多かったと思います。これからは、この経験を活かして業務にあたりたいと思います。そして、さまざまな経験をして、いずれ1級の試験にも挑戦してみたいです。

情報検索能力試験 2級に合格して 
             玉置さやかさん (大学図書館非常勤職員)
 試験終了直後「あかん…」。合格通知受け取り時「ほんまに?」。そんなかなりの勉強不足、なにより業務経験の浅さを痛感して挑んだ人間が行った、今後受験される方への参考となるか甚だ不明の体験談(勉強方法)を合格者の声として、紹介させていただくことにする。

1.「サーチャー講座21」を受講する。

2.過去問を3年分解く。
1は、べつに主催者のまわしものでもなんでもなく、この講座がよいことを基礎の時に感じたので、受講料は高いが(非常勤の給料には、かなり痛かった…)、受講した。講義内容は新鮮で(データベース分野は日々進化しているのをここで痛感)、ボリュームのあるテキストは普段も役に立っている。

2は、1の講座の講師の方々が「過去3年分位でよい、それ以前は古くなっている」といわれたため、その時点でさっさっと3年分の基礎と2級に絞った。問題と解答の冊子は1の講座で頂いたので、サイトから数十ページを印刷する必要はなくなった。過去問を解いて、分からない・忘れていたところは、1の講座のテキストをみかえし、普段あまり馴染みのない分野は、必要最低限の知識と思えるものだけに絞り、つっこむのをやめた(=捨てたという)。
 他に、Dialog社のデータベースは無料の体験版を使ったり、以前に無料講習会に参加した時のイメージを思い出し対応した。

 しかし、試験勉強中は猛後悔をしていた。業務(年間サイクル)に慣れてからにすれば良かったということである。勉強を始めたのが2ヶ月前(就職2ヵ月後)だが、その2ヶ月間の業務の忙しさは想像外であった。とりあえず、時間と体力(!)の許すかぎり、通勤時は小分けにしても重かった1のテキストを読み、閉館までは閲覧室で関連する雑誌をも時に見ながら過去問を解き、その後、某ファーストフード店の100円商品に1-2時間(!)お世話になりながら過去問を解いた。その勉強中に、実際の参考調査業務等で役立ったことが幾度もあり、もし落ちても試験を受けるこの過程行為が大事だと自分に言い聞かせた。

 結果…。とりあえず受かった。が、これはほんとに単なるスタートでしかなく、TOEICのように何度でも受ける形で毎年解き、日々知識・技術を磨くことが重要であると痛感している。そして、また願う。基礎は司書課程の学生さんも受けているらしい。が、全学生が必須で基礎試験は受けるようになり、(文献)検索技術・知識をより磨くことになってほしいと。それは、私の学生時代の経験からである。日々の文献検索で、「これでよいか?見過ごしてないか?」と思うことが度々あった頃、運良く(?)情報リテラシー分野で有名な図書館員さんが転任されてきたこと、また、アルバイトで親しくなっていた図書館員さんに人生(?)相談にのっていただいたことが、検索技術(知識)から広がる世界の扉を大きく開けるきっかけになったからである。今後、そんなきっかけを作る仕事がよりできるようになればとも思う。
 

情報検索能力試験 基礎能力試験に合格して
              五艘 万由美 さん (関西福祉科学大学図書館 )

gosou_san 私は現在、大学図書館に司書として勤務しています。大学図書館では、調べ物や勉強のための利用が主になります。そのため図書館では各種データベースを提供するとともに、情報検索のためのガイダンスにも力を入れています。司書が利用指導をするのですが、私自身がデータベースを使いこなせておらず、特に英語のデータベースの利用指導に不安を感じていました。そんな折、データベース講習を受講する機会があり、講師の方の「サーチャー2級を持っています」の言葉を聞いて、受験を決めました。2級の過去問題を見ると全くわからなかったので、まずは基礎能力試験から受けることにしました。

 勉強方法ですが、勉強するのは平日の夜と決めて、土日は違うことに時間を使うなど、ダラダラ勉強しないように気をつけました。まずは『情報検索の基礎知識』新訂版をテキストと決めて、2回読み込みました。1日1章ずつ3色ボールペンと蛍光ラインマーカーを組み合わせて線を引いたり、書き込みながら読み、わからない英単語は必ず辞書で発音記号と意味を調べるようにしました。発音記号も調べるのは、読めない単語は覚えられないと思ったからです。3色ボールペン方式は学生の時から愛用している方法で、水色は語句説明、ピンクは疑問、赤は調べたことや関連する語の補足説明などに使っています。

 テキストを2回読み込んだ後は過去問を6年分、解いていきました。この時点で試験1週間前でした。年度の新しいものから1日1年分と決め、答え合わせをして間違い箇所をもう一度さらっていきました。試験問題ではテキストとは違う角度や言い回しで出題されます。そのため、正解したけれども迷った箇所や解答に選ばなかった選択肢についてもテキストで確認して、問題用紙にどの場面で使う語なのかを書くようにしました。特にコンピュータ関連の項目と法規が苦手で、なかなか頭に入ってこず、選択肢を選ぶ問題なのだから、答えは書いてあるんだと割り切って試験に臨んだ分野もありました。結果、無事に合格証を手にすることができて、ほっとしています。

 情報があふれている現在、なんとなく知っているあいまいな知識は持っていますが、きっちりと系統立てて仕組みを知る機会はなかなかありません。今回、基礎能力試験を受験したことで、「なんとなく」知っていることをよく整理された情報検索の基礎知識に置き換える、よいきっかけとなりました。次はこの基礎知識の上に、利用者に最短距離で情報提供できる司書になるべく、応用能力試験2級合格を目指して勉強を続けていきたいと思います。合格を目指すみなさん、一緒にがんばりましょう!

情報検索能力試験 基礎能力試験に合格して
              岡田芳幸 さん ((株)富士通ビー・エス・シー )
okada_san 1.受験した理由と背景
私は、20年ほどシステムエンジニアとして現場でシステム開発を行なってきましたが、1年半くらい前に知的財産部門が新設されることになり異動となりました。
以前から知財関連に関する社内(グループ内)資格を取得していたし、対外的なものとしての民間資格は取得していたので、そんなには困らないだろうと思っていたのですが、実際にその活動を推進する部門で働くこととなり、「検索する」という技術スキルでは力不足を痛感することになりました。
特許庁のIPDLなど検索ツールやグループ会社内ツールはあるものの使いこなせておらず自分としてはお手上げ状態でした。
また部門としても創設されて日が浅いということもあり、特許侵害回避調査や技術動向調査に関しては、他社へ発注することが多く。簡単な検索にしても同僚にまかせっきりにしている部分があり、自分としては不得意でアンタッチャブルな部分かなということで一線を隔していました。
そんな折、グループ会社の知財関係の方から「こんな資格があるよ」と紹介されたのがこの情報検索技術でした。
検索について、科学的な仕組みとかが理解できれば特許検索を行うにプラスになるのではないか少なくとも苦手意識は払拭できるのではないかと考え受験することにしました。

2.受験準備と対策
11月下旬が試験日なのですが、秋のこの時期は気候もいいので試験も多くこの試験以外にも受験予定はあったので、実際に試験勉強を始めたのは10月下旬からで、「あまり時間がない」という不安と「合格率が高い」ことも、ある意味でプレッシャーでしした。
受験勉強ってのは昔から好きではないのですが、とりあえずテキスト「情報検索の基礎知識 」を購入し、自分用に要約を作成し、体系的に覚えるとうことをしました。昔の人間なので暗記については「書いて覚える」というかPCで打鍵しつつ覚えるようにしました。(自分は字が汚いので、あとで読めなくなるので!)受験すべてに関して言えることですが脳に壁を作らない!おじさんだとは思わない!たまに脳トレなんぞをやったりして自分の脳を騙す?ようにしました。
その後、特許検索の講義を受講したのですが、合格したことによって、以前よりは理解度が増したと思います。

3.今後の抱負
今はインターネットの普及で情報がの氾濫しています。
発信者も高名な学者から小学生まで様々で、尚且つまた情報の信憑性という点でも正誤の判断が難しくなっていると思います。
某TV曲のように数字(視聴率)のためなら誤った情報も流すというようなことが公然と行われています。
ということは、自分に有益かつ正しい情報を選択する時代になってきていると思います。
知識も暗記するのではなく、どこにその情報があるのかを探すことができるかと言う能力が必要になってきていると思います。
そんな中で、自分としてはこの分野のドアを持ったのですから、もっと知識やスキルを取得していきたいと思います。
それから、社内の知財資格所有者への受験を推奨して、仲間を増やしていきたいと思います。

4.合格者の集いに参加して
ああ、サーチャーと呼ばれる人の端っこに連なってるんだなぁと思いました。
みなさん、やはり検索の世界に関わっているだけのことがありまじめでキチンとしているという印象の方が多く、だらしない系の自分には、結構刺激になりました。自分のドアがひとつ増えたなぁという感じです。
それから立花会長ともお話することができました。
「あっホームページに出てた人だ。」ってあたりまえですが、感激しました。


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