2003年度 情報検索能力試験 合格者の声
情報検索能力試験 1級に合格して 
               大阪 大島賢司さん
 幸いにして1級試験に合格してから半年が経ちました。 まだまだ未熟者ではありますが、来年以降の試験を目指されている方、また情報検索に興味をもたれた方のために、私の経験を書かせていただきます。
 わたしがこの世界に入ったのは95年ごろ、エンジニアの端くれとして自分の特許発明についてサーチをかけたのがきっかけです。 それ以来「情報を発見する」ことに面白さを感じ、特許検索の世界に足を踏み入れました。 02年に情報部署に移動してからこれを本業とすることとなり、現在に至っております。 
 
 その後02年の2級試験に合格し、03年の春ごろから1級の準備を始めました。 過去問を基に出題されそうな問題を想定し、情報網を駆使して情報を集めてノートを作成し、論文試験でも使えるように記憶しました。 少々枝葉に入り込みすぎたものの、知識面を充実させることができたと思います。

 11月に行われた試験の前半は実務に即した基礎的な問題が多かったようで、普段の業務の延長線上でほとんど解答できました。 ただアメリカ特許の「仮出願制度」についての問題は盲点でした。 たしかに諸外国の特許制度の詳細を知っておくことは今後の実務でも必要と思われますので、これは反省点であると共に今後の課題です。

 後半の論文試験は自分が業務で行った検索経験について書かせるもので、これは各自の検索及び情報発信スキルを測るという点で良問だと思いました。 ただ60分で3,000字をマス目のある用紙に書くということは、普段キーボードで文章を書いている身には筋力的につらく、結局まとめの部分がずいぶん薄っぺらになってしまったことが残念です。

 この結果を基に面接試験が2月に東京で行われました。 後半試験の論文をPowerpointにまとめ直してプレゼンし、その後口頭試問をするという形式でした。 これまた普段の業務で培ったスキルと、11月試験の不明ポイントを解消しておくことで突破できました。

 試験に関しては総じて実務的な問題が多く、日々の業務をまっとうし、疑問点等を解消していれば問題なく解けるという印象でした。 ある一定レベルに到達したものをどんどんパスさせて、人材の裾野を広げるのがInfostaの方針ではないかと感じました。 今後1級に挑戦される方も、恐れることなく挑戦していただきたいと思います。


情報検索能力試験 1級に合格して 
        ノバルティス ファーマ(株) 科学情報サービス室 戸上 康弘さん
戸上さん 情報検索の仕事に携わって今年で10年になります。
私の勤務する会社は外資系製薬会社ですが、配属当初、図書や情報検索に興味はあったものの、様々なデータベースの内容とシステムごとに異なるコマンドを覚えるのに相当苦労しました。

 検索式を紙に書いて添削してもらってからようやくオンライン検索をするなど徹底して基本を叩き込まれました。元来人の手助けをすることが好きで、好奇心が強いこともあり、情報プロフェッショナルの仕事は私にとってまさに天職だと勝手に自負しています。

今回幸いにも合格できましたが、試験の形式と内容が大幅に変更されて実務者にとても有利な試験になったと思います。前半の記述問題でも、後半の小論文でも、自分の専門分野から問題やテーマを選択でき、かつ自分が取り組んだ問題点と解決方法を実務に則して自由に書ける。

 まして二次試験では、事前に発表資料をPower Pointで作成しますが、小論文で十分に書けなかった論理の展開、構成、内容を追加訂正することが許されています。発表後、試験官から質問では、社内では決して聞いてくれないようなありがたい質問や問題点の指摘があり、分かってもらいたい一念で熱意を持って回答することができました。
 
日頃から、全社(全機関)的立場に立って、情報部門の役割やあり方について深く考え、実践されている方であれば、もっとすらすらと答えられると思います。ぜひ多くの方に、試験を受験されることをお勧めします。
 合格してから周囲の変化は特にありませんが、何より、情報界の先輩方に負けないような仕事がしたいという意欲が強くなりました。現在OUGライフサイエンス分科会に出席して、毎回最新情報やアドバイスを頂いていてよい恵まれた環境にあるのですが。


情報検索能力試験 2級に合格して
       三栄源エフ・エフ・アイ株式会社法務部情報特許課 小川 紀之さん
小川さん サーチャー試験について初めて聞いたのはかれこれ4,5年程前のことでしょうか。しかし、その当時は、まさか自分が受験するなどとは考えてもみませんでした。

 私は、食品関係の会社で特許関係の仕事をしております。社内の研究者からの依頼で主に特許調査を日常的に行っています。そんなこんなで、仕事の内容に即した資格を取ろう、ということで、昨年度の情報検索試験(基礎および2級)を受験しました。

 今回、合格体験談ということで原稿を書かせていただいているのですが、私の場合は「これを勉強した!」的な、受験生への的確なアドバイスというものは難しいです。過去問は一応解いてみましたし、「情報検索の基礎知識」(情報科学技術協会)を購入して一通り読みましたが、準備というとそれだけで、受験の準備としては十分でなかったと思います。
 おまけに、試験日の直前は仕事がとても忙しくて勉強する時間がありませんでしたし、その上前日から風邪をひいて体調は最悪、試験を欠席しようと思っていた位です。家の者から、「受験料がもったいない」と言われ無理やり家から送り出されたようなものです。
 
 当日は、鼻をすすりながら受験しました。体調が悪かったもので、午前に基礎、午後から2級というスケジュールはかなりしんどかったです。それでも受かったのですから、よほど運がよかったのでしょう。
 こんな私でも合格できた理由を改めて考えてみますと、1つのポイントは、普段の仕事を通して得た知識が役に立ったということだと思います。
 
 日常的にやっていること、気にしていることが出題されているのですから、できて当然かもしれません。ですから、仕事で検索をされている方はかなり有利だと思います。但し、仕事でやっていないと無理という話でもなく、学生の方でも、きちんと知識を整理して勉強すれば必ず合格はできます。学生の方は比較的時間があると思いますので、その点を上手に利用すればよいと思います。
 
 2つめのポイントは、以前、情報処理の勉強をして、昔の情報処理2種を取っていたことだと思います。情報検索にはコンピュータの知識がますます重要になってきており、最近の出題内容にもそれが反映されています。これから勉強される方は、シスアドとか、コンピュータ関係の資格試験と合わせて勉強されることをお勧めいたします。

情報検索能力試験 2級に合格して
        旭化成ファーマ株式会社 医薬学術部 廣谷 映子さん
1. 受験のきっかけ
 私がこの資格を知ったのはオンライン検索と言えばパソコン通信の時代でしたが、当時は自分には無縁のものと思っていました。入社以来製薬企業で学術業務に携わり、情報の調査・収集・管理・評価・報告は常に業務の根幹であったものの、対象とするデータベースも僅かで利用頻度も低かったためです。
しかし、Webの時代を迎えデータベース検索の状況も大きく様変わりしました。そのため、社内でも利用データベースについて改めて検討することとなり、私がその事務局担当者になりました。これが発端となり、検索について体系的に学び断片的だった知識を整理したい、との思いが生じ受験を意識するようになりました。また、社内に受験を強く勧めてくれた方もいました。そこで、まずは情報検索基礎能力試験を受験・合格し(2002年)、その翌年に2級を受験しました。

 2.2級受験にあたっての勉強法
前年の基礎能力試験受験にあたり学習した知識をより確実なものにし、また、記述問題に備えることを対策と考えて取り組みました。その内容は次の4つです。
(1)
INFOSTAの書籍を通読(情報検索の基礎知識、情報管理入門、情報の管理と検索;計3冊)し、用語や知識など基本事項を頭に入れ直しました。
(2)
過去の試験問題(東海サーチャーの会の資料、過去3年分)を計2度解きました。はじめはざっと、2度目は丹念に(実際に回答する気持ちで時間を意識して)解きました。次に1級の問題(もちろん全部でなく一部ですが)にも目を通したところ、これが意外に知識の確認に役立ちました。
(3)
記述問題対策として行ったことは、検索の各ステップ(準備→検索実行→結果報告)の文章化でした。具体的には、必要な手順を言葉として正確に覚えた上で、実作業を頭に描き(例えば検索依頼者とのやりとりをイメージして)、それの文章化です。試験会場で焦ったときにも正しい用語を書けること、また、手順を抜かさないようにすることが目的でした。
(4)
実際の検索経験も重要と考えていますが、要は、何でもよいので得意分野の中から得意データベースを複数(最低2つ)持つことと思います。[私の場合、それらは業務で利用する僅かな数のデータベースだったため、あまり大きな声では言えませんが「苦手分野の記述問題は諦める」が対策でしたが・・・]それから実際の試験にあたっての注意点ですが、試験時間は案外短いのでゆっくり考えていると時間がなくなりますので、特に○×問題・選択問題などは、はじめに選択肢も含め設問全体に目を通してから解くことをおすすめします。
 3.最後に
検索を取り巻く環境変化はめまぐるしいので、今回の受験を通して体系的な理解と新たな知識を得たことはそれだけでなく、その後の変化への対応という意味でも大きな収穫だったことを実感しています。このような受験の機会を与えて下さったINFOSTAならびに関係者の皆様のご努力に感謝申し上げます。また、もし受験を意識している方や少しでもデータベースに興味のある方は、ぜひ一つのステップとしてチャレンジしていただければと思います。

情報検索基礎能力試験に合格して
         大阪府立大学 総合情報センター 非常勤嘱託員 岩倉典子さん
岩倉さん 2003年11月に情報検索基礎能力試験と応用能力試験2級の両方を受験しました。当初は基礎能力試験だけを受験して、翌年に2級を受験する予定でした。しかし、大阪で9月に催された「サーチャー講座21」を受講した際に、講師の方が「サーチャー試験は後になるほど新しいデータベースが増えて大変だから早く合格したほうが良い」と仰っていたので、せっかく講座を受けたのだし…と力試しのつもりで2級も受験しました。結果、基礎は合格、2級は不合格でした。基礎に合格した喜びもありましたが、自分の力は2級にはまだまだ遠いことを実感しました。

 試験勉強については、2級のほうが気になっていたので、基礎のために特に勉強したという感じではありませんでしたが、どんな勉強をしたかを振り返ってみました。まずはその年に新試験に変わったということで行われた「受験者のための説明会」に参加したことが受験のスタートだったと思います。

 説明会では試験の特徴を知ることができました。そのときに配布された「受験の手引き」にある勉強方法を熟読し、参考資料で職場(幸い図書館でしたので)にあるものは、手にとって目を通しましました。
 参考URLも一度はチェックしました。前述の「サーチャー講座21」ではデータベースごとの検索方法や出題の傾向などを聴くことができました。わかりやすくまとめられた資料と過去3年間の試験問題(解答付き)は大変役立ちました。
 特に過去の試験問題を解くことで自分の力を知り、勉強の方向付けができたので良かったと思います。過去の問題で解答を見ても理解できないところがありましたので、問題集の発行元である東海サーチャー会様にメールで問い合わせたことがありました。すると親切に解説だけでなくそのデータベースに関する新しい情報なども回答いただきました(その節はお世話になりありがとうございました)。

 それから、一緒に勉強した友人や先に合格した人のアドバイスにも感謝しています。一人ではつい怠けてしまい、わからないこともそのままにしてしまいがちですが、お互いに質問したり、勉強の進め方を相談したりできたので大変励みになりました。サーチャー試験をご存知でない方も多いと思いますが、一人でも多くの人にこの資格について知ってもらい、仲間と一緒に勉強できることが理想だと思いました。



▲このページのTopへ     ▲試験のページへ       ▲HOMEへ