(株)日本著作出版権管理システム(JCLS)に対する文献複写権問題質問書

1.日本複写権センター(JRRC)・学術著作権協会・日本著作出版権管理システム(JCLS)の統合、一本化について
@ 3機関が錯綜している現状を打開しょうとする考えはありますか。その際、まとめる機関はどこが妥当と考えますか。
A 3機関の一本化が直ちにできない場合は、少なくとも窓口を一本化(包括契約時の調査窓口、委託著作物リストの一本化など)して貰いたいが、これについてどう考えますか。
B 利用者、権利者、ドキュメントサプライヤーの代表者が同じテーブルについて、価格、処理システムを協議していくことが重要だと考えますが、どう思いますか。
C 31条の解釈を始めとして、統一見解を含めた利用規程を作成する予定はありますか。その際、利用者と協議する意志はありますか。
2.双務協定について
@ 諸外国との双務協定については、IFRROに加盟しているJRRCが行うべきと考えますが、JCLSはこの双務協定についてどう考えますか。
3.著作権の範囲について
@ 貴機関が取り扱う著作権の範囲を示して貰いたい(公衆送信権や電子化を含むか、その場合はどこまでの範囲か)。
A 日本ではILLでのFAX送信は認められていないが、海外ではArielのような機能が整備されています。ILLに対する国内と海外の考え方の「ねじれ」をどう考えますか。
4.薬事法について
@ 製薬企業が薬事法に基づいて行う文献提供をフェアユーズもしくはアカデミックユースの類と見なすことについて、どう考えますか。
5.白抜きRについて
@ 白抜きRが管理物に占める割合はどれくらいですか。
6.包括契約について
@ 包括契約の調査方法、業種設定を示して貰いたい。また、使用料の計算式(ex 従業員×20×2円)があればそれも示して貰いたい。
7.出版コストについて
@ JCLSは出版コストの平等な負担を求めると言っていますが、出版コストの回収は年間購読契約で行われるべきだと思います。どうでしょうか。
A 複写料と年間購読料の関係をどう考えていますか。年間購読料から算出した医書出版協会の雑誌論文は1頁17円以下という調査結果を得ています。
B STM系の学術論文の流通は、研究水準の維持・発展に重要な役割を果たしています。また、研究者は互いの研究成果を相互に参照しあって研究を進めており、論文に代表される研究成果は学界の共有物であるといえます。したがって、著作権管理事業者は権利者の保護と併せて学位論文の流通を促進する条件も整備すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
8.金額について
@ JCLSの価格設定は米国より安価とされていますが、現行の2円とは大きく乖離しています。緩やかに段階的に課金していくというような考えはないのでしょうか。
A 複写利用料金と購読料金を切り離すのであれば、論文単位の商品を用意すべきとも思いますが、どう考えますか。
B 米国と日本では研究者に対する予算配分も著作権に関する法的・制度的環境も異なりますが、これを無視して金額だけグローバルにするのは日本の研究体制に危機的状況をもたらす、といわざるを得ません。日本の文化的土壌に根ざした独自の権利処理制度を創る必要があると思いますが、どう考えますか。
9.契約対象者について
@ ドキュメントサプライヤーおよび製薬企業から著作権料を徴収しようとしているようですが、病院図書室でのコピー(医師、薬剤師等の利用に対して)等に対して、今後どのように進めていくつもりですか。本来は同時スタートとすべきではないでしょうか。また、他の業種に対してはどのように進めていくつもりですか。
A 企業を優先ターゲットにするとしても、JCLSの見解によれば研究者も31条の私的利用に該当しないとのことですが、彼らに対する啓蒙はどのように考えていますか。
B 商業目的で31条図書館を利用した場合の支払い原則を明確にするべきではないでしょうか。
C 管理事業のために設立されたJCLSですが、制度が整った場合はいつでも会社を解散させるつもりである、との説明ですが、具体的にはどのような環境なり、条件なりをJCLS解散の条件として考えているのでしょうか。
以上