OUGライフサイエンス分科会
☆☆ 今までの活動内容 ☆☆

2014年1月~12月


第319回(2014年1月)  第320回(2014年2月)   第321回(2014年3月)   第322回(2014年4月)  第323回(2014年5月)  第324回 (2014年6月)  第325回(2014年7月)  第326回(2014年9月)  第327回(2014年10月)  第328回(2014年11月)   


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2014年11月度(第328回)ライフサイエンス分科会

開催日時: 2014年11月20日(木) 14:00~17:00
開催場所:(一財)国際医学情報センター 会議室
参加人数:16名


内容:「最近のPubMed/MeSH等の話題について」

記入者:NPO医学中央雑誌刊行会  黒沢俊典


1部:医書ジェーピーの紹介 「医学・医療の配信に特化した統一プラットホーム構想」

発表者:医学書院取締役副社長、医書.jp取締役 金原俊氏

 

2015年秋の公開を目指している、医学雑誌、書籍のコンテンツの配信サイト「医書ジェーピー」について紹介があった。

・医書ジェーピーはあくまでコンテンツの配信を目的としており、販売はあくまで出版社が主体になって行う

・コンテンツは、医書専門書店を通じて購入することができる

・雑誌は定期購読や記事単位のpay per viewが可能だが、書籍については1冊単位の販売を想定している

・参加者からは、章単位の購入を希望する意見が多くあった

・収録コンテンツはサービス開始時期の時点で、書籍数2,000冊、雑誌数50誌程度を見込んでいる

・医書ジェーピーで配信される書籍については医中誌Webにも収録し、医中誌Webから該当の書籍へのリンクも実装する。(予定)

 

 

2部:今日の診療、Medical Finderの紹介

発表者:医学書院 販売部販売課 大谷悠也氏

 

「今日の診療」と8月にリニューアルした「Medical Finder」についての紹介があった。

Medical Finderは全対象誌について創刊号まで遡及する。但し、過去分の購読には別料金が発生する




2014年10月度(第327回)ライフサイエンス分科会

開催日時: 2014年10月16日(木) 14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター(3階)  会議室C
参加人数:19名


内容:「最近のPubMed/MeSH等の話題について」

記入者:(一財)日本医薬情報センター データベース検索サービス課  井上 彰


1MeSH / Supplementary Concept Records(SCR)に関する話題

議事筆者が7月に日本医薬品情報学会・年会(鹿児島)で発表した、MEDLINEPubMed)の索引用語であるMeSHSCRに含まれる医薬品用語に関する検討について概要を発表し、意見を交換した。

MeSH / SCRの医薬品に関する用語と、米国・欧州でそれぞれ承認された医薬品の一般名とを比較すると、米国・欧州承認薬の一般名のおおよそ3分の2は、MeSHSCRの統制語や自由語に含まれていた。PubMedの検索支援機能である、自動用語マッピングを利用した場合には、おおよそ大半の医薬品が簡便にMeSHSCRを補完した検索が可能となっている。一方一致していない用語は、多くが配合剤や塩の記載様式が、FDAEMAの記載様式とMeSH / SCRの記載様式が異なる事ためであった。

なお8月に公開されたPubMedで医薬品を検索する際のチュートリアルでは、医薬品を検索する場合には、まずは商品名で検索する事を推奨しています。商品名がどの程度MeSHSCRで網羅されているのかも今後の検討課題と考えられました。

参考:JAPIC NEWS 201410月号、薬学図書館(58(4)282-287)

2.最近の話題・情報提供

 PubMedMeSHに関する最近の話題や、使用する上での疑問点などをお互いに発表し意見を交換した。

PubMed公式の話題

 ・MeSH on Demand ( http://www.nlm.nih.gov/mesh/MeSHonDemand.html )

昨年にも紹介された、入力された文章から、それに関連するMeSHを自動的に検索し表示するサービスとして提供されている。8月の機能更新により、MeSHを自動表示するだけでなく、そのMeSHに関連したPubMedの文献(PAID)を10件分サジェストする機能が追加された。

 ・Special Queriesの追加 ( http://www.nlm.nih.gov/bsd/special_queries.html )

Population Health(公衆衛生)に関するSpecial Queriesが追加された。

 

・更新頻度改訂 ( http://www.nlm.nih.gov/pubs/techbull/mj14/mj14_daily_medline_pubmed_updates.html )

201462日より、MEDLINE/PubMedの更新頻度が、火~土曜日から毎日更新に変更された。

 

・医薬品検索のチュートリアル ( http://www.nlm.nih.gov/bsd/disted/drugs/intro.html )

PubMedで医薬品や化合物に関する文献を検索する際のチュートリアルが公開された。チュートリアルでは、解説テキストだけでなくビデオやチェッククイズを通じて医薬品に関する文献検索のコツがわかりやすく解説されている。また根拠となるような、医薬品に関連した過去のNLMの詳細な解説ページへのハイパーリンクなど整理されている。

 

MeSH 2015の公開 ( http://www.nlm.nih.gov/mesh/introduction.html )

2014917日に2015年版のMeSHが公開された。新規語は310語、変更語が25語、削除語が4語含まれていた。削除語の一つがPublication TypeでもあるIn Vitroで、2015年版では削除されIn Vitro Techniquesに置き換えられる事がアナウンスされている。

 

PubMed外部の話題

PubMed 2XL ( http://blog.humaneguitarist.org/projects/pubmed2xl/ )

PubMedの検索結果としてダウンロード可能なXML形式のファイルから、Excel形式の表形式のファイルに情報を出力するWindows/Linux用のフリーソフトの紹介である。

PubMedの標準的なCSV形式の出力では、出力項目がかなり限定されているため、表形式で情報を加工する場合に便利であるが、実行ファイルをインストールしなければならないため、使用する際には注意が必要と思われた。

 

3PubMed検索での検索事例の検討

 配合剤の文献検索について、配合剤と単剤併用療法とを絞り込む検索手法について、事例提示と意見を交換した。PubMedのチュートリアルでは商品名での検索が推奨されているが、その他に有効成分名を全て検索する事や、依頼者の要望に応じ配合剤と併用療法を比較するような検索をするのが良いのではないかなどの意見が上がった。




2014年9月度(第326回)ライフサイエンス分科会

開催日時: 2014年9月11日(木) 14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター(5階)  会議室A
参加人数:21名


内容:「著作権について」

記入者: (一財)国際医学情報センター 原千延


稲田孝哉氏(公益社団法人日本複製権センター 事務局長)を講師に、「企業人のための著作権基礎知識」と題した講習会を開催していただいた。
1. 公益社団法人日本複製権センター(JRRC)の紹介
   1991930日、簡単な手続きで法に適した複写利用ができるよう、著作物の権利者から委託を受けて集中管理することを目的に設立   会員団体は著作者団体連合、学術著作権協会、出版者著作権管理機構、新聞著作権協議会
   文化庁登録著作権等集中管理事業者
   20124月に公益社団法人に移行(20123月までの旧名称は日本複写権センター)

2. 集中管理の仕組み
   JRRC、権利者、利用者の間での委託、許諾、使用料の流れ

3. ビデオ「上戸彩の著作権早わかり」上映

4. 著作権の基礎知識
1)   著作物とは何か?著作者とは?著作権者とは?
著作物とは人間が思想や感情を創作的に表現したもの
著作者が著作権者ではない場合もある
2)   著作物の種類
3)   知的財産権について
4)   著作権とは
5)   著作者人格権と著作権(財産権)とは
著作者人格権は譲渡できないが、著作権は譲渡できる
6)   著作権の保護期間
7)   著作隣接権(財産権)とその内容、保護期間
8)   ネットワーク環境における著作物の利用について
ホームページやブログの作成・利用上の注意→ホームページやブログも著作物にあたる
音楽や映像のダウンロードの注意→私的利用でも違法サイトからのダウンロードは罰せられる
ファイル交換ソフトや動画投稿サイトの利用上の注意→摘発事例が増加している
著作権を侵害すると、逮捕、懲役・罰金、損害賠償、会社名公表のリスクがある
9)   著作物の引用・転載利用について
転載:国や自治体などの一般周知目的の公表資料について、新聞・雑誌に転載可能。また、新聞、雑誌の 時事問題に関する論説も新聞・雑誌の転載や放送が可能。一般企業での転載利用は許諾要
引用:本文との明確な区別や出典の明示など条件を満たしていれば、公表された著作物は無許諾で引用可能

5. 著作物の正しい利用方法
   保護期間外であればPublic Domainとして自由に利用できる
   保護期間内でも例外規定に該当すれば権利制限により利用できる
   保護期間内で権利の所在が不明の場合は文化庁長官の裁定を仰ぐ
   保護期間内で権利の所在が明らかな場合は許諾を得て利用する
   原則は直接権利者や管理事業者から許諾を得る
   例外的に許諾を得ず複製できる場合がある(私的使用、図書館、教育機関、裁判手続など)
   著作物の外注時には権利の譲渡(27条・28条含む)や著作者人格権の不行使などを契約書で明文化しておく

6. 著作権侵害のリスク
   刑事罰や民事訴訟だけでなく、社会的信用を失墜することになる

7. Q&A
■事前質問より
Q)新聞社について(JRRC取扱い範囲、新聞Webページへのリンク、試験問題での使用)
A)JRRC対象外は読売ではなく日経新聞社。当初より新聞著作権協議会参加でない。
また、日経新聞はJRRCに含まれる見込みは低い。
なお、新聞社Webページへのリンクは権利侵害に当たらない。
その他、入学/入社試験等、試験問題への新聞社説等の使用は許諾不要。
但し、出所明示など原則遵守のこと。

Q)JRRCナショナルアーカイブ構想
A)国立国会図書館のデータと統合し日本の著作権情報のデータベースを構築する件は、進めている所(知的財産戦略会議(政府)の取り組みで実施)。
JCOPY
の著作物がJRRCとなっているとの指摘については、旧JCLS以外で既存のJCOPYに属していたものが「JRRC」と区分されているため。旧JCLSは「JCOPY」区分である。


Q)他団体との協議などについて
A)JCOPYJACは構成団体で、かつ、競合している。海外双務協定という点ではJRRCは実施していない。利用者協議は経団連の知財担当と電子許諾について話し合い(2014/3)など。

Q)裁定制度のハードルが高すぎる点
A)確かに非現実的な制度と考える。例えばCRICなど公共的な団体が処理を行い、権利侵害の指摘があった際に裁判ないしADR(Alternative Dispute Resolution)に持ち込む。そのための利用料をプールして問題解決で必要な時に対応する、などが考えられる。但し法改正が必要。

■一般用より抜粋
・著作権の登録:登録制度はあるが、権利が途中で移ったときの対処用でもともとは無方式主義。
・コンテスト募集作品の権利:二次使用や人格権についても事前の明文化が望ましい。
・著作権者が死亡:相続者がいない場合にはPublic Domainになる。
・新聞紙面で保護期間50年経過したもの:紙面と掲載内容(写真等)は別扱いで要注意。 

■当日の質問より
Q)学術雑誌のグラフなどで創作性の無いものは?
A)引用ルールを守って使用。あとは道義的マナーの対応になるのでは。グラフも組み合わせて掲載した場合に著作物性を主張するケースあり。創作性などに留意する必要あるのでは。
Q)パンフレット作成の検討段階の著作物使用は?
A)平成24年の法改正で使用が前提の案段階でのコピー利用は違法でないとなったが、使用が前提となっていることに注意が必要。




2014年7月度(第325回)ライフサイエンス分科会

開催日時: 2014年7月17日(木) 14:00~17:00
開催場所:化学情報協会 メリノ六義園ビル 3F 大会議室
参加人数:12名


内容:STN アップデート

記入者: 化学情報協会 澤井 善行


STN の概要および医薬系データベースに関する最近の強化内容について紹介した.
1. STN の概要
・ STN の特長
・ STN のインターフェース
・ 医学・薬学分野の調査に利用できる主なデータベース

2. 医薬系データベースの強化
・ EMBASE/EMBAL ファイル
- EMTREE 語のオンラインシソーラスの更新
- EMBAL ファイルの収録範囲変更
- ED.FIR フィールドの追加
- DOI の各種表示形式への追加
- AUPB 表示形式の追加

・ MEDLINE ファイル
- 2014 年版 MeSH に対応
- 著者名と所属機関名の表示形式を強化
- ORCID の収録を開始
- 助成金関連フィールドの追加
- 被引用情報の強化
- 毎月のアラート実行日が月末に

・ ADISINSIGHT,ADISNEWS ファイル
- 基本索引フィールドなどで中間一致・後方一致検索が可能に

3. 完全定額プラン - STN Global Value Pricing -
・ STN の全ファイル,全機能を完全固定料金で利用できる新しい定額プランの紹介

4. SciFinder の紹介
・ SciFinder について,収録内容,検索・解析機能などの概要を紹介



2014年6月度(第324回)ライフサイエンス分科会

開催日時: 2014年6月19日(木) 14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター5階 会議室A
参加人数:17名


内容:医中誌Web最新情報

記入者: NPO医学中央雑誌刊行会 黒沢俊典


医中誌Webの新しい機能や今後の予定などについて紹介した。

1.便利な機能
 (1)機関ごとの設定
  ・自機関で契約している電子ジャーナルに限定した絞り込み検索
  ・自機関で所蔵している雑誌に限定した絞り込み検索
  ・リンクリゾルバやOPACへのリンク
  ・ダイレクトエクスポート機能によるシステム連携
 (2)個人ごとの設定
  ・My医中誌
 (3)外部API
  ・OpenURL
  ・OpenSearch
  ・SRU/SRW

2.最新情報
  ・ISSN等による検索のバージョンアップ
  ・マッピング機能の拡張
  ・Mendeleyへのダイレクトエクスポート
  ・学認による認証
  ・フルテキストへのリンクデータ生成処理の精度向上
  ・OLD医中誌(予定)
  ・契約している電子ジャーナルに限定した検索で各ジャーナルのエンバーゴ期間を反映(予定)
  ・シソーラスブラウザ(予定)
  ・「東邦大学・医中誌 診療ガイドライン情報データベース」サイトのオープン
    http://guideline.jamas.or.jp/




2014年5月度(第323回)ライフサイエンス分科会

開催日時: 2014年5月15日(木) 14:00~17:00
開催場所:長井記念館 4階 (一財)日本医薬情報センター(JAPIC) 4階会議室
参加人数:16


内容:

1)開発医薬品情報データベース「AdisInsight」の紹介

記入者: シュプリンガー・ジャパン株式会社 徳田美樹


シュプリンガーのブランドの一つであるAdisの医薬品情報のデータベース「AdisInsight(エイディス・インサイト)」を紹介した。開発医薬品情報の”R&D Insight”、臨床試験情報の”Clinical Trials Insight”、副作用情報の”Pharmacovigilance Insight”のそれぞれのコンテンツや検索方法、チャート化機能やビジュアリゼーション機能の活用例をあげて特色を説明した。
 AdisInsightは、データの切り貼りではなく、「Drugs」をはじめとする20種以上のジャーナルの発行で培った知識経験を活かして開発しているオンラインデータベースであり、結果が出た臨床試験のプロファイルや副作用情報のケースレポートには、Adis独自の評価を端的に記載しているので、多くのデータを検索し閲覧する方にも分かりやすくて便利である。
 年間契約でご利用いただける。

AdisInsight日本語パンフレット: http://www.springer.jp/database/files/AdisInsight_brochure.pdf
AdisInsight製品情報サイト(日本語): adisinsight.jp
・同時にご紹介させていただいたSpringerのデータベース”SpringerMaterials”、”SpringerProtocols”を含むシュプリンガー・ジャパン データベース ウェブサイト: springer.jp/database



2)MeSH on Demandの紹介

記入者:(一財)国際医学情報センター 原 千延


MeSH on Demand」というツールが公開された。入力ボックスに10000字以内のテキストを入力すると、そのテキストに適したMeSHをサジェストするツールである。抄録などのテキストから参考となるMeSHをピックアップできるため、MeSHに慣れていない方や、馴染のない分野のMeSHを探す際の参考に使えるツールといえる。

 MeSH on Demand
http://ii.nlm.nih.gov/Interactive/MeSHonDemand.shtml

 関連記事

・米国国立医学図書館(NLM)、“MeSH on Demand”を公開
 http://current.ndl.go.jp/node/26076

MeSH on Demand Tool: An Easy Way to Identify Relevant MeSH Terms
 http://www.nlm.nih.gov/pubs/techbull/mj14/mj14_mesh_on_demand.html



3)検索演題

記入者:(一財)日本医薬情報センター 井上 彰

問題 (2013年度情報検索応用能力試験2級後半問題より)

海外製薬企業のA社からのニュースリリースで「FFF-5」という高血圧治療剤の臨床開発品について発表があった。しかし、具体的な構造式や薬理メカニズムが不明であるため調査を行いたい。この場合の検索戦略について、以下の質問に答えなさい。一つのファイルで結論が得られない可能性も考慮し、順を追って述べなさい。
ただし、解答には以下のポイントを含めること。

  使用したツール(商用データベースに限らないが具体的な名称を述べること。複数使用可能。ツールは一般に入手できる
  ものに限り、「自社内資料」「社内データベース」といったツールは除く)

  そのツールを選択した理由
  具体的な調査方法と注意点

①使用したツールとしては、
公式情報A社プレスリリース、AWebサイト)、新規医薬品成分に関するデータベースAdis R & D Insight、明日の新薬、PharmaprojectsIMS R&D FocusThomson Reuters Cortellis for Competitive Intelligence)、化学系データベースPubchemSciFinderSTNCAplusファイル、REGISTRYファイル))、医学・薬学系データベースMEDLINEPubMed)、EMBASEDerwent Drug File)、抄録引用文献データベース、特許系データベースSCOOUSShareresearch)などが上がり、一般的なニュース等の収集としてGoogleなども上がった。

②選択理由として、
公式情報、PubMedGoogleは容易にアクセスが可能で公式情報からは他のプレスリリース等やPubMedでは文献情報などを容易に入手できる事が期待出来る。新規医薬品成分に関するデータベースでは、開発番号から開発の経緯・状況・適応領域などの医薬品の広範な情報、化学系データベースでは構造式や物理特性といった情報、医学薬学系データベースでは非臨床・臨床等の検討に関する情報、抄録引用文献データベースや特許系データベースでは非特許文献や特許からのアプローチについて意見が上がった。

③具体的な調査方法と注意点として、
調査の流れとしては、依頼主の要望(目的、情報の種類、言語、期限、予算等)のヒアリングから始まり、公式情報の精査、新規医薬品成分に特化したデータベースから医薬品の概要情報を収集、医学薬学データベースによる薬理学的検討を行った文献情報の調査、化学系データベースによる構造式、物性等の調査が考えられた。注意する事項として、調査したい項目・調査の要する時間に応じた適切なツールを選択すること、有償・無償による費用について依頼主への負担を考慮すること、網羅的な情報となる医学薬学データベースや一般Webサイトの検索による調査実施時の検索結果の妥当性などが上がった。



2014年4月度(第322回)ライフサイエンス分科会

開催日時: 2014年4月16日(水) 14:00~17:00
開催場所:1)慶應義塾大学信濃町メディアセンター
       2)(一財)国際医学情報センター 第二会議室(2)
参加人数:18

記入者:(一財)国際医学情報センター 原 千延

内容:

1)慶應義塾大学信濃町メディアセンター(北里記念医学図書館)の見学

慶應義塾大学 信濃町メディアセンター(北里記念医学図書館)三谷三恵子氏

 1.信濃町メディアセンターの沿革とサービス概要

 信濃町メディアセンターは慶應義塾大学の6つのキャンパスにあるメディアセンターの1つである。1937年に初代医学部長の北里柴三郎博士の功績を称えて建築され、「医学情報センター」「信濃町メディアセンター」と組織名称は変わっても、「北里記念医学図書館」の名前は現在も変わらず残されている。また、創設時の理念に基づき、塾内の関係者だけでなく、広く医学関係者を対象にサービスを行なっている。
 蔵書数は約42万冊。雑誌は冊子で約1500誌、電子で67,700誌。洋雑誌の多くは電子ジャーナルで提供されている。
 図書館からの情報発信のひとつにホームページがある。TOPページに多くの情報が掲載されているが、時間のない利用者が少ないクリック数で必要な情報に辿り着けるよう工夫されている。各種データベースや様々な情報源へのリンクが充実しているだけでなく、説明や使い方のマニュアルも充実している。現在はtwitterも活用し、リアルタイムな情報を発信している。
 また、慶應義塾関連のリンク集の中には、貴重書をデジタル化したリポジトリサイトのKOARA-ahttp://koara-a.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/news/も含まれており、コレクションの一つである解体新書も閲覧することが可能である。
 2012年からは、利用者の実態を把握する「スタディライフ調査」を開始し、医学図書館(2013604p.445-458)に学生を対象とした調査結果が報告された。学生の図書館利用の傾向を知る良い資料となるであろう。


 2.見学

 2組に分かれて図書館内を見学した。書架フロアの閲覧スペースだけでなく、「くつろぎ閲覧エリア」「静かエリア」「グループ学習室」など利用者が目的に応じて利用できるスペースが設けられ、ニーズに合わせた館内環境の整備がおこなわれていた。
 Index Medicus
や医学中央雑誌などの古い冊子とデジタル情報源が融合したサービスを提供している。趣のある建物の中に快適な閲覧環境が用意されており、新旧が織り交ざった興味深い図書館である。

2)「わが国10有余年の診療ガイドライン開発史:裏と表と」

(一財)国際医学情報センター 鈴木博道氏

世界での流れ
1991 Guyatt論文で初めてEBM(Evidence-based Medicine)の概念が登場
   Guyatt G. Evidence-based Medicine. ACP Journal Club 1991; 114:A16
1996 EBMの概念が固まった
概念が固まる前は
1990 IOM(Institute of Medicine)のGL定義
   Institute of Medicine. Clinical Practice guidelines: Directions for a New Program.
   National Academy Press; 1990
1991 米国AHCPR(Agency for Health Care Policy & Research), 現在のAHRQ (Agency for Healthcare Research
   & Quality) がCPG(Clinical Practice Guideline)開発開始
   現在はCPG開発中止(腰痛GLが切っ掛け)
   EPC (Evidence-based Practice Center) に依頼し、エビデンス・レポート作成
1992 スコットランド、大学間ネットワークSIGN(Scottish Intercollegiate Guidelines Network)がCPG開発

1999 英国NICE(National Institute for Health and Care Excellence) でCPG開発
2000 GIN(Guidelines International Network)が組織され、2003以降、ほぼ毎年 Annual Meeting が開かれてきている

日本での流れ
1997 厚労省「医療技術評価の在り方に関する検討会」で医療テクノロジーアセスメントの観点からEBM重視を提言
1998 厚労省「医療技術評価推進検討会」報告でEBM推進策として、CPG開発が必要であり、国の支援を提言
1999 厚労省の厚生労働科学研究費補助金でCPG開発支援を開始

IMICの関わり
1997 日本で初めてとも言える、EBMの考え方を実践するプロジェクト「医薬品適応外使用のエビデンス研究」に参画
   医薬品適応外使用408のテーマについてのシステマティック・レビュー
   成果は、2課長通知として、行政に反映された
   津谷喜一郎.医薬品の適応外使用-20世紀末のエビデンス.ライフサイエンス出版, 2004
1998 EBM推進のためにはリサーチライブラリアン養成が必要、との観点から発足した「EBMを支えるリサーチ
   ライブラリアン養成についての調査研究」研究班に参画、リサーチライブラリアンワークショップ開催などに協力
   同時に、国内のRCT・CCT文献を抽出するハンドサーチを担当
1999 以降、海外のCPG開発状況等を調査
2000 CPG開発の事務局(ロジスティックス担当)

こうした流れの中で体験された、CPG活用の様々なトライアル、CPGの stake-holder や、CPG開発(白内障、肺がん、胃潰瘍、前立腺がん検診ほか)に関わる多くのエポックやトラブル等を発表された。




2014年3月度(第321回)ライフサイエンス分科会

開催日時: 2014年3月20日(木) 14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター5階 会議室A
配布資料:ProQuest Dialog
参加人数:15

記入者:株式会社 ジー・サーチ 川原 綾

内容:ProQuest Dialog

 1.ProQuest Dialogの概要

   2010年に医薬文献データベースを搭載してサービスを開始したProQuest Dialogは、201312月より特許データベース
  ニュースデータベースを搭載した。搭載データベース拡大だけでなく、検索機能や表示機能、後処理機能の強化なども
  おこなわれているため、ProQuest Dialogの最新情報を中心にご紹介した。

1)ProQuest Dialogの特徴
   世界の信頼できる情報源を豊富に搭載
  検索からタイトル一覧まで無料
  日本語で検索できる、多言語対応インターフェース
  複数の検索画面を用意(基本検索、詳細検索、コマンドライン等

2)ProQuest Dialogの検索補助機能
   入力ルールを知らなくても使える検索機能
  後方一致検索などトランケーションの強化
  名詞の複数形、形容詞の比較級最上級の自動検索
  入力語に関連する候補を表示するサジェスト機能

3)ProQuest Dialogの後処理機能
   ダウンロードファイル形式(RISRTFPDF、テキスト、ExcelXML等)
  同一セッション内、同一レコード、同一出力形式であれば二重課金なし
  回答表示結果を日本語を含む多言語に機械翻訳
  ※複数件の同時翻訳や翻訳結果の保存も可能に

 2.ProQuest Dialogの基本的な使い方と便利な使い方

    検索から出力までの流れをご紹介


 3.データベースのご紹介

    MEDLINEおよびEmbaseデータベースにおけるデータ構造等、旧システムのDialogからの変更点についてご紹介


2014年2月度(第320回)ライフサイエンス分科会

開催日時: 2014年2月20日(木) 14:00~17:00
開催場所:文京シビックセンター5階 会議室A
参加人数:17

記入者:株式会社サンメディア 前田亜寿香

内容:1.「目玉の数と巨人の肩」  東京ウィキメディアン会 赤虹氏

 東京のウィキペディアユーザー会の赤虹氏より、Wikipediaの編集方針やデータの信頼性についてお話いただいた。

1)Wikipediaの特徴
  ・不特定多数の執筆陣:約3万人(英語版)、約4千人(日本語版)ひと月に5回以上編集したアカウント数
  ・項目数:約440万(英語版)、約89万(日本語版)
  ・版数(例):第45336版(英語版)、第4672版(日本語版)
  ・無断コピー、転載可

2)信頼性を保つ方法
  ・「目玉の数」多数の閲覧者がいれば間違いがあっても修正されるという考え方。読者からの指摘や直接修正を受け入れ、迅速に修正する。
   開発思想書『伽藍とバザール』
ウィキペディアは不特定多数による執筆と修正(バザール方式に類似)
  ・目玉「監視者」読者による目だけではなく、国内外で数名~数十名の監視者によりおそらく24時間体制で監視されている。
  ・目玉「ウォッチリスト」の機能を使い、更新された情報を確認することができ、ページを好ましい状態に維持することができる。
  ・目玉「格付」項目の重要度を格付し、重要な項目から内容を充実させていく。「秀逸な記事」や「良質な記事」は、不特定多数による査読を経て
   認定されている。

  「巨人の肩」文献による裏付け。以上のような目玉の数のみを頼りにしていたが失敗。人物の誤った経歴の掲載により騒動が発生した。
   これを受けて、存命人物の記事に関してのみ「出典なき批判は直ちに除去する」という方針が定められた。それ以外の記事も、
情報源
   (書籍や文献、ウェブページ)を明記するよう呼びかけている(「検証可能性」)。しかし、偽文献などの実例もあり、万能ではない。

   信頼性を保つには利用者の目と、情報源(文献)の両方が必要。

3)Wikipedia活用方法
  ・読む:必ず参考文献を確認する(主要資料への橋渡しとして活用)
  ・書く:活用方法の一例として、自社の顧客の啓蒙により、自社に対する問い合わせ数を削減できる可能性もあり。

4)進行中のプロジェクト
  ・分野部会による項目格付(トップダウン式の書き直し作業が英語版にて進行中。日本語版化学部会でも作業の試行を開始)
  ・英語版の医学部会では国際プロジェクトが進行中(主要疾病32項目について翻訳作戦が展開中。日本語版の進捗はいまいち)

5)その他
  ・「自分自身の記事をつくらない」という方針はある。記事の執筆を希望する項目があれば「執筆依頼」のページを活用できる。
  ・書きたい項目があっても出典が明確でない場合は、すでにある項目の「ノート」欄に記載する方法もある。
 

   2.Wikipediaの教育 愛知大学文学部教授 時実象一氏

  時実氏より、愛知大学でのWikipedia記事作成実習の経験、およびWikipediaの利  用方法についてお話いただいた。

   1)授業にて、学生に記事の執筆・編集をさせている。記事テーマの選択において、好ましい記事、好ましくない記事がある。
    紛争になりやすい記事は選択しない。

      Wikipedia五本の柱(全ての指針の基礎)
      ・三大執筆方針(中立的、独自の研究は載せない、検証可能性)も参考にする。

   2)記事の準備と作成(既存サイトからのコピペは禁止、類似の記事があればそれをテンプレートとして利用等)
 
   3)問題点
      ・アカウントの取得をせずに編集を行ったところIPアドレスブロックにあった(それ以降アカウント取得の上作業している)。
      ・未熟な記述(検証が困難、事典の記述にふさわしくない、など)
      ・記事が削除されたことがあった(コピペであった可能性があったため。記事の場所やイベントがなくなったため、など)
   4)実習の教育効果(アンケート結果の紹介「誰にでも編集できて敷居が低かった」「その反面、簡単に信用しないことが大切」など)
   5)Wikipediaの記事の引用
         ネットにおける匿名記事の引用は好ましくない

   3.Infostaホームページのリニューアルについてアンケートの実施


    4.OUGの今後の運用についてのアンケートについて説明
 


2014年1月度(第319回)ライフサイエンス分科会

開催日時: 2014年1月16日(木) 14:00~17:00
開催場所:一般財団法人 日本医薬情報センター 4階会議室
参加人数:16名

記入者:一般財団法人 日本医薬情報センター附属図書館 平山陽菜

内容:

1.医薬品と対応病名検索システム及び医薬品と対応病名データベース

一般財団法人 日本医薬情報センター(以下、JAPICという)が提供する医薬品と対応病名検索システムについての説明を行った。

医薬品と対応病名検索システム(http://www.japic.or.jp/service/byomei/)

  現在、医薬品の添付文書に記載されている効能効果と、レセプト請求の際に適用される標準病名の記載が異なっており、そのため、レセプト請求時の病名と医薬品の確認等のために、効能効果の記述と標準病名を紐づけるデータベースが求められている。JAPICではこの標準病名と効能効果を管理するデータベースを作成し、レセプト電算処理システムにデータを提供する他、医薬品と対応病名検索システムとして一般に公開している。
 データの作成方法は、添付文書に記載されている効能効果を記述通りに抽出し、一致する標準病名と関連付けるというものである。単純な紐づけの場合、約20,000件ある標準病名に対し、効能効果を元にした医薬品対応病名は約2,000件と少ないため、ICD10コードなどから類似の病名を候補とし、専門家による客観的評価をもって医薬品と病名の妥当性のチェックを行うなど、採用病名数の増加を図った。その結果、医薬品対応病名は約2,000件から約14,000件と増加し、データベースを充実させることができた。

 一般には無償で公開しているが、医薬品と標準病名の他、レセプト電算コードや薬価、添付文書(PDF)を閲覧できる有償公開も行っている。

2.WebAPIについて

  近年注目されるWebAPIについて、話題提供を行った。
  APIとはApplication Programming Interfaceを意味し、外部のプログラムから他のプログラムが管理する機能やデータを利用するための規約である。WebAPIを無料で公開しているシステムも多く、複数のWebAPIを利用したプログラムを第三者が開発するなど、広く利用されている。
 WebAPIの多くは、URLに決まった形式のパラメータを送信することで利用が可能である。Googleの検索システムなどの他にも、ライフサイエンス分野ではPubMedJ-STAGECiNii、医中誌WebSciFinderOvidなどがWebAPIを提供している。
 本報告では、実際にPHPExcel VBAJ-STAGEPubMedWebAPIを利用したシステムを披露され、その機能を確認した。プログラミングの知識が必要ではあるが、WebAPIを利用すれば自分好みのシステムが手軽に作成でき、業務の効率化に役立つものと考えられる。



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