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目次前回 < > 次回 第 263 回化学分科会開催報告
日時 2005 年 3 月 8 日 (火) 14:00-17:00
場所 (社) 情報科学技術協会 会議室

配布資料

  1. Google Scholar 各自検索例

1. Google Scholar

Google が公開している学術情報検索エンジン Google Scholar のβ版 <http://scholar.google.com/> で各自検索例を持参し、またその場で実際に検索をおこなって確認した。Google Scholar の内容を使った検索での現在の注意点など、以下の通り。

  1. Google Scholar の収録源は MEDLINE の抄録、Web に公開されている目次・抄録、Scholar Preference に示された 28 大学にレポジトリされた論文、および協力出版者から提供された論文(これら論文に引用された文献を含む)からなっていると思われる。、したがって生医学分野はある程度収録されているが、化学分野は弱いと思われる。

  2. 引用情報を情報源としている場合が多いので、タイトルと著者名のフィールドを対象に検索式を考えるとよい。タイトルしかない文献の場合、検索のキーワードが多いと見つからないことになる。

  3. 用情報は検索結果の先頭に [CITATION] が表示され、その文献を引用している文献 (cited by) にリンクしている。目的とした文献にはたどり着けない。

  4. 論文へのリンクは、出版社の公式サイト、大学リポジトリ、PubMed (ncbi.nlm.nih.gov) が併記されている。3 件を超える場合は別ページでみられる。出版社公式サイトの場合は、通常電子ジャーナルを契約していないと全文を見ることはできない。大学リポジトリの場合は全文 (最終原稿の PDF) が見られる場合がある。

  5. PubMedと Google Scholar の検索比較例では、PubMed の方が検索結果が多かった。

  6. Fullerene に関して、Google Scholar とWeb of Science、Scopus、SCIRUS、CA on CD を比較した例では、Google Scholar 27,500件に対し、Web of Science (1994年以降) 15270件、Scopus 17398 件、SCIRUS (journal results) 15102 件であったが、Google Scholar は 2005 年が 0 件、2004 年が 783 件と、Web of Science の 2005 年 306 件、Scopus の 2005 年 141 件に比べ、最新の文献が少ないことが分かった (2004 年の文献数も他より少なかった)。

  7. Fullerene の特定文献 (Scinece vol 280, Issue 5367, 22 May 1998, Pages 1253-1256)について収録を調べたところ、SCIRUS を除き、他の Google Scholar, Web of Science, Scopus, CA on CD には収録されていた。その非引用件数は Google Scholar が 145 回、Web of Science が 542 回、Scopus が 533 回となっており、収録データ数の差が出ていると考えられる。

  8. 現在β版であり、今後も内容が変わっていき、収録源も増えていくと考えられるが、収録源が限られていることと、検索上の特徴を理解して利用していけば、(特定論文の入手など)上手に利用することもできると思われる。

2. 「「理系のためのインターネット検索術」紹介」紹介

 メンバーの時実氏の「「理系のためのインターネット検索術」が講談社ブルーバックスより発売されたので、その内容を簡単に紹介した。Google Scholar や検索エンジンの最近の動向についても書かれている。