2000年8月号

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特集 「始まる情報教育 初等中等教育のなかで」の編集にあたって

新学習指導要領により,2002年から小学校では「総合的学習」のなかで,中学校では技術・家庭科の「情報基礎」のなかで,情報教育が始まります。 また,高校では2003年から「情報」科目が新設され,教育課程がこれまでの枠を越えた新たな流れを受けて大きく転換しようとしています。 現在,この教科で何を教えるべきか,教えられるべきかがさまざまな見地から議論されていますが,こうした動きは,情報に関わる私たちの職場からもあながち無関係ではありません。企業においても,大学においても“情報をあつかう”人材の育成を考えるとき,いま検討が行われている教育の動きは見逃せません。   そこで今回の特集企画では初等中等教育における情報教育確立を目指す動向に着目し,新しい施策およびそれに関わる様々な試みと現状を探り,社会のあり方,今後の行方を左右する問題点を確認していきます。これにより,新しい教育のあり方を参考にわれわれ自身とこれからを背負う世代が対峙していく情報教育のこれからを考えたいと思います。
編集担当委員:棚橋佳子,大原寿人,小陳左和子,友田暁子

 

特集:始まる情報教育―初等中等教育のなかで情報教育 今行われようとしていること

中川正樹 (なかがわ まさき 東京農工大学工学部情報コミュニケーション工学科)       
本稿では,情報教育を,「情報」に係る教育と,「教育の情報化」を包含するものとして捉え,新指導要領に至る情報教育理念の形成を明確にし,その実現に立ちはだかる課題や問題を列挙し,その解決を支援する活動や試みを紹介する。情報教育の理念は,「情報活用の実践力」,「情報の科学的理解」,「情報社会に参画する態度」のバランスのとれた養成であり,課題には,ハードウェア環境,ソフトウェア環境,学習ソフトウェア及び教材コンテンツ,制度や意識,教員養成,支援体制,施策などに対するものがある。
キーワード:情報技術,情報に係る教育,教育の情報化,教育改革,新学習指導要領  

 

特集:始まる情報教育―初等中等教育のなかでこの教科では何を教えるべきか,何が教えられるか〜“教えない”教科「情報」

木内雅司 (きのうち まさし) 横浜市立戸塚高等学校
横浜市立戸塚高等学校で行われている。「情報」は知識を定着させることだけを目指すよりも,自分自身で考え答えを自らの中から出せるような工夫をしている。我々が目指すものは,ただコンピュータを上手に使いこなせる生徒の育成ではなくて,上手に利用して人生を豊かにすることができる生徒の育成である。
キーワード:情報教育,パソコン,インターネット,教科学習,高等学校,情報リテラシー,情報社会,

特集:始まる情報教育―初等中等教育のなかでメディアキッズの実践 

インターネットを使った学校間のネットワーキングの試み

  〜ソフトクリエータプロジェクト〜      
中川一史 (なかがわ ひとし) 金沢大学教育学部教育総合センター助教授 メディアキッズ会長
日本においては2003年より新教科として「総合的な学習」が小学校,中学校において,登場する。日本各地で先行的にそのカリキュラム の実践研究が行われている。インターネットを使った学校間交流プロジェクト「メディアキッズ」を紹介するとともに,そこで,この新科目登場 における重要な観点になりうる「インターネットを活用した共同学習」「模擬的活動ではなく,本物を追究する活動」をめざした教育実践活動 の事例として,専門家とともに,異なる地域の小学生が協力して自分たちがほしいソフトウェアの制作に取り組むプロジェクトを行った。   
キーワード:インターネット,学校,総合的な学習,メディアキッズ,ネットワーク

特集:始まる情報教育―初等中等教育のなかで司書教諭のいる学校図書館と情報教育の可能性―1つの事例報告

青山 比呂乃 (あおやま ひろの) 千里国際学園図書館   
千里国際学園には,2つの学校が共存している。英語で授業をするインターナショナルスクールでは,図書館が頻繁に使われ,教員は勉強の技術―図書館利用技術を生徒に習得させることを重視している。また小中学生向調査研究用図書や2次資料が充実している。一方の日本の中学高校では,司書教諭が中1向け授業「情報の技術入門」を実践している。その結果,それ以降の各教科で出される調査研究課題への生徒の取り組み方が格段に向上した。情報科教諭は現在コンピュータの使い方を主に教えている。今後も教科教諭,情報科教諭,司書教諭の3者が一体となって連携すれば,教科教育を通じた,より効果的な情報技術習得のプログラムを考えていくことができるだろう。   
キーワード:情報教育,情報リテラシー,情報検索,学校図書館,司書教諭,インターネット

特集:始まる情報教育―初等中等教育のなかで自ら学ぶ力を育む学校図書館をめざして「公共図書館と学校とを結ぶネットワーク事業」

小林路子 (こばやし みちこ) 千葉県市川市教育委員会 市川市教育センター
小学校や中学校の学校図書館が有効に活用されるには,「読書センター」「学習・情報センター」としての機能の充実が必須条件である。今,学校図書館の活性化は時代の要請であり,特に公共図書館と学校図書館との連携は文部省「学校図書館情報化・活性化推進モデル地域事業」の拡大によって,全国で試みられてきている。千葉県市川市教育センターでは平成元年に「公共図書館と学校とを結ぶネットワーク事業」を立ち上げ,「物流ネットワーク」と「情報ネットワーク」を両輪として公共図書館を含めた市内全校の学校図書館連携を進めてきた。そのシステムと運営について述べる。
キーワード:学校図書館,情報化,活性化,公共図書館,ネットワーク,物流ネットワーク,情報ネットワーク

連載:INFOSTA談話室(2) ドクメンテーションと日産自動車と私

戸田 光昭 (とだ みつあき) 駿河台大学文化情報学部

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